劇場公開日 2019年4月6日

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「誠実な記録」沈没家族 劇場版 Rubysparksさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0誠実な記録

2019年4月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

今の時代でこそ「シェア」なんて言葉が当たり前になって、子どもをみんなで育てる沈没家族の試みは、多くの人の興味の対象となると思う。でも、今の人たちがシェア◯◯なんて言葉から想像するようなそれとは全然ちがうということは、映画を観たらわかると思う。一人のシングルマザーがサバイブするために、それも悲壮感なく明るく楽しく生きてくために、とにかくやれることをやった、とてもワイルドな世界だった。見る人がみたら危なっかしいと眉をひそめるかもしれない。でも一見カオスにみえるそこには希望がありユーモアがあり小さきものへのリスペクトと思いやりがあった。この小さきものを触媒として、大人たちはとても暖かな、でも時に(土くんへの接し方についてなど)激しい議論を交わすような、大人同士の深い交流も生まれていた。血縁や婚姻によらない、会社などの組織でもない、何も縛るものがない、なんの利害関係もない、ニュートラルな関係の中で、そういった濃い関係性が生まれ紡がれていたことはとても興味深い。そんな中で育った子どもたちが大人になりそこで育ったことが自分の人生に与えた意味を語っているシーンは、淡々としているけれどとても感動的だ。

土くんの生物学上の父のシーンには多くの人が複雑な気持ちになり心乱されるのではないかと思う。感情的になる山くんに対して、あそこまで食いついて必死に問いかける土くんのその姿勢は映画監督としても、一人の人の子としても、ある覚悟を感じた。自分では選べないひとりの特別な人の存在をどう捉えたらいいのかという葛藤に本当に誠実に向き合っている。それがどれだけ勇気あることか、伝わってくるからその誠実さに心が痛むとともに、その勇気をあっぱれと思い本当に泣けてくる。この映画における大事なシーンだと思う。

土くんの子ども時代には本当にたくさんの大人が関わっていて、その責任のなさゆえの自由さと、責任もないのにそこまでコミットするんだということの不思議さと、色々な気持ちが見る人の中には湧き上がると思う。私は沈没家族に何年か関わった者として、その硬直しない感じがとてもいいなとおもっている。そして、やはり、そこにいた大人たちに好感をもっているし、そこで育った子どもたちには「友達の子ども」以上の思い入れがある。その子の力になりたいといつでも思うし、幸せになってほしいと心から願っている。そんなわけで、昨日の公開初日の上映をみて、全然客観的に見れないと思ったが、とりあえずレビューをこんな風に書いてみました。

Rubysparks