劇場公開日 2019年1月11日

  • 予告編を見る

「近未来的な設定なのにファッションは70年代」エリザベス∞エクスペリメント kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0近未来的な設定なのにファッションは70年代

2019年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 70年代のフランス映画から飛び出してきたかのようなアビー・リー演ずるエリザベス。醜いものから逃げ出すために一目惚れの男と結婚などと、あざといドライブシーンでクローン人間を演ずるSFスリラー。

 「この部屋(ハーベスト・ルーム)だけは開けるなよ」ときつく言いつけられていたのに開けてしまうエリザベス。そこで見つけたのは自分とそっくりの女が培養液の中で育てられている姿だった。思わず逃げ出してしまいそうになるが、夫のヘンリーにあっけなく殺されてしまう。ただし、彼女はクローン人間6体のうち4番目のエリザベスだったのだ。こうして再度5番目のエリザベスもまた同じことを繰り返すことになる、といった展開。

 しかし5番目のエリザベスは少し賢かったのか、事態は思わぬ方向に進む。元々8歳までの記憶しかないクローンたち。音楽を聴かせたり、本を読んであげたり、追体験を繰り返すというライフワーク。優秀な研究員クレアもそれに協力するが、彼女もまたヘンリーを好きになっていて肉体関係を結んでいた。この辺りの心理描写はよくわからない・・・

 ヘンリーと妻のエリザベスにはオリバーという一人息子がいて、クレアとともにヘンリーの研究を手助けしていたが、ヘンリーとのある確執において盲目にされてしまっていた暗い過去もあった。ファッション的にはスタートレックのコスチュームなのだが、これが異彩を放っていた!というより、古臭さの原因はここにあったのではないか。名前も“オリバー”。チンパンジーのオリバー君からつけた名前なのだろうし、70年代感覚満載だ。屋敷内の壁紙も単調でアナクロなのも同様に、死んだ妻の若かりし時代を懐かしんでいたのだろう。

 そんな雰囲気をさらに不気味なものにしていたのはデパルマ調だったりリンチ調だったりするカメラワークや色彩感覚。エリザベスが美しいのはわかるが、作られた“モノ”であるが故にヘンリーのサイコ面も開花させていた。愛でることの究極の形が殺害であるという狂気の世界。しかし、5番目のエリザベスにあっけなく返り討ちに遭うことになるのだ。そして、そこからはグダグダな展開へ。

 面白い作品にすることもできただろうに、刑事も殺してしまったりするオリバーの心情が読み取れないこと。そして6番目のエリザベスの行動パターンもどこで覚えたものなのか・・・もしかすると教育を受けてないから野蛮さだけを見せていたのか。とにかく終盤にきて読めない展開となるので混乱してしまうのです。その辺りがちょっと残念だった。

kossy
bionさんのコメント
2019年12月25日

若くて美しい花嫁が、青髭にこの部屋だけは開けるなって
言われるんです。

bion
bionさんのコメント
2019年12月25日

小学生の時に読んだ世界の怖い物語に収録されていた青髭を思い出しながら鑑賞したので、意外と面白かったです。

bion