劇場公開日 2019年9月6日

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「ジョーダンピール作品の心理的恐怖の正体」アス マエダさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ジョーダンピール作品の心理的恐怖の正体

2019年10月1日
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一件落着のように見えて、どことない後味の悪さを残すのが、彼の作品に通底していると思う。
なぜならば、映画を通してみたときの「真の被害者」は主人公たちではないからである。
その「真の被害者」たちの「声」が、「上の者」達の強制的な抑圧で封殺されていることこそが、恐ろしい。
その「上の者達」の所業こそが、真に恐ろしいのだ。
主人公たちは初めてその「声」という真実を知り、世界の裏側の恐怖と対峙することになる。
だからこそ、彼の作品で「真の被害者」が流す涙やその表情には、核心に迫るものがある。
だからこそ、ルピタニョンゴが別荘で自分の分身と初対峙するシーンの、あの彼女の表情が、全てを物語っている。
映画を見終わったあとの我々は、今一度、自分たちの幸福は誰かの不幸の上で成り立っているのではないか、と考えてみる必要がある。
この社会で「ハサミ」を握らざるおえない人間がいて、誰の喉元にそれを突き刺そうとしてるのか。
まともなフリをした人間のバックボーンは果たしてまともなのか。

冥土幽太楼