劇場公開日 2018年12月29日

ニースについてのレビュー・感想・評価

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4.0監督の非凡なる映像センスと独特の視線を存分に感じる事ができる

2019年3月7日
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鑑賞方法:映画館

高級リゾート地南仏ニースのお祭りの日を活写する短編
監督の非凡なる映像センスと独特の視線を存分に感じる事ができる
主役はこの地を訪れる身なりの良い紳士、淑女達ではない
もちろんほとんどのシーンは彼ら大金持ち達の様子を写すのだが、テラス席で居眠りして呆けた顔を晒す姿であったりあまり好意的な視線ではない
その視線にはお金持ち達に対する憧れや、そのきらびやかな生態への賛美は無い
そして交互に挟まれるのは、そのお金持ち達のバカンスの下働きで支えている現地の下層の住民達の映像だ
こちらに向けられる視線はむしろ暖かい
冒頭シーンは早朝からお祭りの準備に余念の無い彼らの熱心な姿だ
お祭りのパレードシーンも着ぐるみの中の彼らに視線がいく
地元の娘達は山車に乗って足を上げるダンスでスカートを捲り愛想を振りまくが、そこには悲壮感はなく逞しく彼女達なりに金を稼ぎながら楽しんでいる
それを見守る視線なのだ
華やかなリゾート地の路地には彼らの日常生活があり、そこはリゾート地とは似ても似つかない汚れた路地でありたむろする男達は粗末な身なりで仕事もなくじゃんけんわして遊ぶ
かといって階級闘争を煽る単純な共産主義的な映像ではない
むしろあるがままをみせてこういう世の中なのだという視線だ
そこから先は観客の捉え方次第だ
戦後のネオリズモに近い感覚に感じた

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あき240