劇場公開日 2019年10月4日

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「音楽って共鳴して広がる」蜜蜂と遠雷 王様のねこさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0音楽って共鳴して広がる

2019年10月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

幸せ

人と人が繋がる方法はコミュニケーションを取ること。

一般的に、人は言葉や態度、仕草で他者との距離を測り、自分の居場所や意思を伝えて生活している。
それがいわゆる「普通の感性」だ。

芸術の側面ではこの「普通の感性」を表現する媒体が音楽や絵画やダンスや歌だったりする。

「普通の感性」を一般的なやり方でない方法で表現するからこそ「芸術」なんだと思う。

役者の演技力でもって、キャラクターの心の揺れ動きが分かりやすく伝わってくる。

芸術に触れるとそれを自分の中に取り込んで咀嚼して、急いでアウトプットしたくなる気持ちはとてもよく分かる。

良いものは波紋のように広がって、自分の中の何かを形にしたい衝動に駆られる。
その余波を共感できた者同士が共鳴すると、観ていた景色が広がっていく。

きっと、絵を描いたり、ピアノを弾いたり、何かを表現することが好きな人には刺さる映画だと思う。

ただ、個人的に評価が3止まりなのは、キャストに少し不満が残ったからだ。
レポーター役のブルゾンちえみと指揮者役の鹿賀丈史が自分的にはミスキャストだったように感じてしまった。

ブルゾンちえみは存在感が薄い方が良い。観客の知識補填役として、素人の立ち位置でコンクールや参加者の説明をしてくれる役所なのだが、随所で目に入る。バラエティでは爪痕を残すことが最良の仕事だが、映画においては作品の中に溶け込む演技力を身につけてから仕事を引き受けて欲しかった。彼女が悪いわけではなくて、他の役者の演技力が優っているので浮いて見えるのは仕方ないのかもしれない。

鹿賀丈史に関しては明らかに指揮者役の勉強不足だと思う。オーケストラを束ねるコンマスだよね?指示出してる?って思うくらいただ手を振っているだけ。一筋縄ではいかない指揮者をやるなら、100回は原曲を聴いて少しは自分で振るぞって気概がないと何のためにこの役に選ばれたんだか分からないよ。

他の役者さんが実際にピアノは弾けなくても、目線や表情で演奏の芝居をしているのに対して、少しどころか素人目にもお粗末な指揮者だった。

作品自体はキャラクターの心理描写に特化した良作で、音楽をテーマとした難しい作品をここまで映像化した良作だと思います。

素人が偉そうなことを書きましたが、胸にグッとくる表現力のエネルギーを是非劇場でお楽しみください。
音響の良い映画館でご覧になることをお勧めします。

それから、今回はポップコーンよりホットドッグがオススメです。

@花/王様のねこ