劇場公開日 2020年2月28日

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「見たこともない3Dワンカットの使い方」ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5見たこともない3Dワンカットの使い方

2020年6月30日
PCから投稿

変な映画だなあと思うし、とても気取っていて、その気取りがダサいとも思う。ムードに溺れている。有り体にいえばカッコを付けている。正直、美男美女が終始、重い過去を背負った深刻な顔をしていて、しかも描写が観念的なものだから、たまにはなにか面白いことでも言ってくれよという気にもなる。

と、随分を悪い書き方をしてしまっているが、作品がつまらないわけじゃない。むしろ作り手が妥協することなく美意識を貫いていて、他人のヘンな夢にでも巻き込まれたような酩酊感がある。しかも終盤60分の3Dワンカットで、確実にギアが上がる。ワンシーンワンカットの長回し(もしくは疑似長回し)にはいろんなタイプがあるが、ここまであからさまに3D映像の持つ「不自然さ」を前面に打ち出した例もあまりなくい。ビー・ガンの狙いを理解できたとは思わないが、終始、脇の下にススキの葉でも差し込まれてちょこちょことやられているようなヘンなムズ痒さは、唯一無二の世界観なのかも知れないと思う。

村山章