劇場公開日 2019年4月5日

  • 予告編を見る

「薦める人を見かけたら…」麻雀放浪記2020 CINE LADAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0薦める人を見かけたら…

2021年10月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

難しい

一連の騒動を受け、野次馬的に観てきたわけではないのです。仕事終わりのレイトショーで観たのは「麻雀放浪記2020」。ピエール瀧は、いや、電気グルーヴは相当好きですが、「作品に罪はない」との英断のもと瀧被告の登場シーンをノーカットで公開した作品にエールを!とか、そういうウェットなチョイスじゃないんです。単に白石和彌監督作品のファンなんです。

前作「止められるか、俺たちを」の舞台挨拶で、パンフレットにサインをもらい、握手とともに「次も期待してます!」と声がけ。「次は本当にバカでくだらないヤツですから」と自信満々にこたえてくれた白石監督。そりゃ楽しみにしますよね。

で、感想。本当にバカでくだらないヤツでした(笑)。社会を痛快にえぐるような切り口が得意だと思っていたのですが、とことんクレイジー。正直、この感覚についていけない人のほうが多いと思うので、人に奨めるのは憚ります。奨める人を見かけたら、騙されていると思ったほうがいいでしょう。

でも、個人的には大好きな作品。パンフレットに「いまこの国に欠けている映画を撮って、盛大に燃え尽きてやろうと思いました」という白石監督の言葉が載っています。瀧の件で悪目立ちした感は否めませんが、結果的にエンタメ業界の過剰な反応に一石を投じた本作。極めてパンクです。瀧被告のシーンをカットしたら、この作品に課された使命の80%は死んでしまうでしょう。ノーカットに納得。やりやがったぜ。

それにしても、薬物、逮捕、ワイドショー、謝罪会見、そして髪型。アレって壮大なプロモーション?と勘違いしてしまうこと間違いなしの怒涛の展開。音楽はagraphこと牛尾憲輔。電気ファンは、観て白石監督と東映さんに感謝の意を伝えましょう。薦める人のうち、多くは電気ファンかもしれません。

LADA