劇場公開日 2019年12月27日

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「ただのモンタージュではない」男はつらいよ お帰り 寅さん まめこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ただのモンタージュではない

2020年1月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

観客は、見た目年齢層で60歳以上の方しかいませんでした。けど、席は半分以上が埋まっていました。
上映後、その多くの方が楽しそうな顔をしているのをみて、感じるところがありました。

男はつらいよは、子どもの頃、よく金曜ロードショーとかでやっていたので、それで観るくらいなものでした。なんか古くさいなーという食わず嫌いもあって、敬遠はしていました。「観たら面白いんだろうけどなー」って気持ちありますよね? 観るまでが、腰を上げるのが大変。

上映が始まったら、ただの再編集でしょ感があったのですが、なんか時間が経つにつれ、そういうのもどうでも良くなってきて。ストーリーに気持ちが入っていくんですよね。不思議です。
きっと、画の切り方も心地よいというか、異常なくらいにおさまりがいいですもんね。全員が見事に配置されている。特に柴又の家。これは中毒性があります。
あと、セリフが面白いですね。現代ではなく、昔の。あれだけの長ったらしいセリフを飽きさせず、且つこっちの気持ちがどんどん入っていく、渥美清さんてすげーんだなあって、感じました。

いろいろ嫌なところもありました。冒頭の本棚に桑田佳祐のアルバムがわざとらしく飾ってあったり、編集社に東京物語のポスターがわざとらしく貼ってあったり、女子高生の話し言葉が異常なまでに丁寧だったり。。。けど、そういうの全部踏まえて、山田洋次映画なんでしょうね。理想郷。そういう監督の色を出せるって、素晴らしいなあ。

まめこ