劇場公開日 2018年12月15日

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「「裸足の季節」の監督だけに期待大だったが…」マイ・サンシャイン AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「裸足の季節」の監督だけに期待大だったが…

2018年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

トルコ出身フランス在住の女性監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンは2015年の「裸足の季節」で、封建的価値観の残るトルコの小さな町で暮らす5人姉妹の受難と希望を瑞々しく描き、鮮烈なデビューを飾った。10年以上前から温めてきた企画がこの第2作だと聞いて、前作以上に監督の持ち味が出た作品になっているだろうと楽しみだったが、期待値を上げすぎた。

社会派の作り手なのは確かだが、92年ロサンゼルス暴動というテーマは、監督の繊細な感性を活かすにはワイルドすぎたか。暴動の背景と経過を語る部分と、困難児たちを預かる黒人女性、白人の隣人との交流、そうした要素がうまく噛み合わない。大物女優に演出で遠慮したのだろうか、ハル・ベリーの演技が過剰で鼻につく。

街で起きた暴動に巻き込まれる過程は、キャスリン・ビグロー監督の「デトロイト」にも似て緊迫感があった。ユーモアのセンスも悪くない。次作での挽回を待とう。

高森 郁哉