劇場公開日 2019年11月8日

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「ターミネートできず永遠にグルグル廻るのではなかろうか?」ターミネーター ニュー・フェイト kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ターミネートできず永遠にグルグル廻るのではなかろうか?

2019年12月9日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

前作「ターミネーター:新起動/ジェニシス」(2015年)でのリブート計画が失敗したにも関わらず、またまたターミネーターを再出発させたのは、ハリウッドの深刻なネタ切れが理由か、産みの親ジェームズ・キャメロンが業を煮やして踏み出したからか。

まぁどうでもいいが、純粋に面白かったと思う。

サラ・コナー役にリンダ・ハミルトンを復活させて、今さら何させるの?と思いながらも気になって映画館に足を運んだオリジナルのリアルタイムファン(50歳以上だろう)は多かったと思う。
若い人たちにとってどうだかは、分からないが。
そして、リンダの本気ぶりに感動すらした。
ともすれば彼女が一番頼りになりそうに見えた。

しかしこのシリーズ、「T3」以降に作られた作品はどれも見事に「T3」をなかったことにしているという無責任さ。
テレビシリーズの「サラ・コナー・クロニクルズ」も含めて。
だから、ジェームズ・キャメロンご出陣とはいえ「T2の正統な続編」と言われても既視感を禁じ得ない。

審判の日の到来を阻止したにもかかわらず、新しい未来では別の勢力が誕生して変わらない結果を招いていたという皮肉な設定。
結局、人類は破滅しないと自らの愚行に気づかない。
ある人間の間違いを正しても、別の人間が同じ過ちを犯す。
そんな宗教的かつ哲学的(?)なテーマがこの映画には織り込まれている。

「T2」での壮絶な戦いを生き抜いたジョン・コナーが、その後簡単に殺されていたというのも、惨い設定だ。
ジョン暗殺のターミネーターはもう一体いた…というアイデアは、説得力がない訳ではないが、ならばT-1000だろうと思った。
旧式T-800を送り込んだときのターゲットはサラだったはず。
T-800カール(アーノルド・シュワルツェネッガー)が人間的な暮らしをしていたのは、「T-2」の最後でジョンと心を通わせる変化が描かれていていたことから、人の心を学び得る能力がその人工頭脳にはあったのだろう。
見た目の老化は、人工皮膚の経年劣化というよりカール自身が家族のために細工をしたと解釈する。

そもそも、ジョン・コナーを産む前のサラ・コナーを暗殺しようと企てなければ、ジョンが産まれることはなかったし、サラが戦闘力を身につけることもなかった。
本作も、同じタイムパラドックスが描かれている。
ダニー・ラモス(ナタリア・レジェス)の暗殺にターミネーターを派遣したがために、彼女の戦士・リーダーとしての才能を開花させることになった。
本作は「T-2」の続編でありながら、オリジナル&「T-2」の焼直しでもある。

このタイムパラドックス、スカイネットの目線で考えるとややこしい。
最初にT-800を1984年と1994年より後の時代に一体ずつ送り込んでいたとしよう。
一体のターゲットはサラ、もう一体のターゲットはジョン。
ジョンの暗殺は成功するのだから、スカイネットにとっての現在にジヨンはいなくなるので、その後にT-1000を1994年に送り込む必要はなくなる。
ではやはり映画の時系列通り、T-800を1984年に送り込んでもジョンは消えないため、抵抗軍に破壊された時間転送装置を修復した後に今度はT-1000を1994年に送り込んだとするならば、その時点でサイバーダイン社が壊滅されてスカイネット自身が存在しなくなるので、更にT-800をジョン暗殺に送り込むことはできないはず。
…あぁ、眠れなくなっちゃう‼️

アクションシーンは飽きさせない工夫があって、充分面白かったと思う。
強化人間グレース役のマッケンジー・デイヴィスが凛々しい。

しかしそれより何より、ジヨン(エドワード・ファーロング)が殺される回想シーン…
あぁ、またやっちゃったよCGが!
「ジェミニマン」なんてのもあったけど。
ほらほら、20代のトム・クルーズで新作が作れちゃうってことじゃん‼️

kazz