劇場公開日 2019年1月18日

  • 予告編を見る

「広瀬監督の今後が楽しみ」夜明け ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5広瀬監督の今後が楽しみ

2019年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

地方の木工所という男臭い世界を舞台にしているが、奇妙なほどにフェミニンな印象を受ける作品だ。男の柔らかい部分というか、弱さのようなものが非常に上手く描かれた作品だ。
ある過去を持って逃げてきた青年と、息子を失った過去から前に進めない中年男性、二人は共依存の関係になりながら前に進みたくてもがく。

前半は青年の素性の謎とともに、青年側の葛藤を描いているのだが、いつの間にか中年男性側に視点を移動しているのが巧みだ。男はいくになっても弱い。しかしその弱さを批難しないのがこの映画の良いところ。誰にでも立ち止まってしまう時はある。それは悪いことだと思わなくていい、ゆっくりでいいいので前に進む力を貯めればいい。

広瀬奈々子監督は脚本、演出ともに荒削りな部分はまだあるが、確かな実力を示した。これからが楽しみな監督がまた1人増えた。

杉本穂高