劇場公開日 2019年2月1日

  • 予告編を見る

「日本の組織の闇に立ち向かえるか」七つの会議 セロファンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本の組織の闇に立ち向かえるか

2021年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

とても面白かったです。
原作未読です。半沢直樹好きなので観ました。
(半沢直樹の)オネエじゃない黒崎や、気の弱い渡真利を見ているようで、不思議な感じがしました。大和田のキャラはほぼそのまま笑。
ほぼ半沢キャストだったので、嬉しいような、違和感があるような変な感じがしましたが、それは初めだけ。すぐに物語の中に惹き込まれました。それぐらい面白かったです。

パワハラや左遷騒動の裏に隠れた組織の闇。登場人物それぞれの立場や思惑。それらの全貌が少しずつ見えてくるので最初から最後まで目が離せません。
一人の社員のノルマ達成の為の不正と思いきや、そうでは無かった。掘れば掘るほど不正の闇が深まり、会社ぐるみ、組織ぐるみの隠蔽が明らかになっていきます。

’会社のために’、’組織のために’、、、日本の侍魂は美しいと言われますが、それも行き過ぎると人の心を蝕んでいく。心を病む者もいれば、見苦しい保身に走る者もいる。上に立つ者は汚い奴ばかり、と一言で片付ける事も出来ず、そこには組織という和にがんじがらめにされた会社員の悲哀も感じられ、切なくなってきます。
社内での醜い足の引っ張り合いも滑稽でしたが、身近な所でも似たような事が起こっていそうで笑えません。
そんな中、自分が正しいと思う事に向かって突き進む主人公八角、とても魅力的でした。謎が多く、最初は作品の中で浮いているように見えたのですが、徐々に彼の過去が明らかになってくるにつれて惹き込まれていきます。
組織の闇に対しブレる事なく立ち向かっていく八角、格好良かったです。組織のお荷物にしか見えなかった彼が、実は心に傷を抱えており、二度と同じ間違えは起こさないと信念に従って真っ直ぐ進んでいく姿に感動しました。

八角のように捨て身の覚悟で不正に立ち向かっていける人間は現実にはあまりいないでしょう。
悪い事は悪いと言えれば、きっと不正は無くなるのかもしれません。しかし、八角がラストで断言していたように不正は無くなりません。人と人との繋がりを変に重んじる日本人の特性なのでしょうか?組織やチームの和を大事にし、そこから出されれば負けだと思ってしまう。そう思ってしまうのはなぜなのでしょう。

悪い事は悪いとはっき言える人間になりたい。それができればどんなに気持ちいいだろう。でも世の中渡っていくためにはそうも言ってられないのが現実です。

正しい事をした人が報われ、悪い事をした人が罰せられる。当たり前の事なのに、現実はそうで無い事もあります。当たり前の事が当たり前に起こる世の中に少しでも近づけていけたら、、、色々と考えさせられます。

セロファン
セロファンさんのコメント
2021年4月29日

れいすけさん
お褒めの言葉ありがとうございます。
つい調子に乗って長々書いてしまいましたが、嬉しいです!

セロファン
れいすけ(休眠中)さんのコメント
2021年4月29日

どのレビューも実に丁寧に誠実なレビューを書かれてますね。性格が文章に出ているというのか、たぶんすごく優しい方なんだなと感じました。またレビュー読ませてください。

れいすけ(休眠中)