劇場公開日 2019年8月30日

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「硬軟のバランス絶妙なエンタメ時代劇」引っ越し大名! みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0硬軟のバランス絶妙なエンタメ時代劇

2022年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

コミカルでありながらシリアスという、硬軟のバランスが絶妙な心温まる時代劇だった。当時の上士(上級武士)と下士(下級武士)の関係、士農工商という身分制度などを踏まえているので、時代劇らしさが十分堪能できるエンタメ作品に仕上がっている。

本作の舞台は江戸時代中期。姫路藩は姫路から豊後・日田(九州)への国替え(引っ越し)と、15万石から7万石への減封を命じられる。書庫番であり博学という理由で主人公・片桐春之助(星野源)が引っ越し奉行となる。度重なる国替えで財政は逼迫している状態で、前引っ越し奉行の息女・於蘭(高畑充希)、腕には自信のある鷹村源右衛門(高橋一生)らの協力を得て、片桐は、知力を振り絞って国替えに挑んでいく・・・。

片桐を演じる星野源の持ち味が最大限に活かされている。頼りないが持ち前の知力を活かして、不器用だが愚直に困難を克服していく姿は、星野源のイメージにピッタリであり、彼のために用意された役のようである。

さらに主人公を引き立てているのが、於蘭と鷹村である。於蘭は、勝気に積極的に主人公をサポートしていく。鷹村は、陽気に豪快に主人公を叱咤激励していく。ともに、主人公との静と動の対比が面白く、作品にメリハリを付けている。演じる高畑充希、高橋一生が芸達者の本領を発揮いて躍動している。

実現不可能なミッションに挑むという作品では、奇想天外な作戦を取るケースが多いが、本作ではそういう作戦は取らない。当時のタブーに真正面から挑んでいく。痛みを伴う作戦を断行していく。それほどに国替えが実現性の厳しい難問だったことが実感できる。

全体的に国替え騒動記的な作風だが、終盤は、絆というものを強く感じる展開になる。前半で主人公が取った作戦が、終盤への伏線になっており、古典的だが、そこには和を重んじる日本の原点があり、切なくて何度も胸が熱くなる。

本作は、エンタメ時代劇だが、絆という言葉が強く心に残る作品である。

みかずき
大粒 まろんさんのコメント
2022年3月27日

はじめまして、みかずきさん。
丁寧なコメントありがとうございます。

奇跡的に同じところで共感できたりすると嬉しくなったりしますね。

素敵な映画があれば教えいただけると嬉しいです。

大粒 まろん