「才気にあふれみずみずしいふたり」いま、輝くときに 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0才気にあふれみずみずしいふたり

2020年7月11日
PCから投稿

マイルズテラーとシェイリーンウッドリーがブレイクした映画。すなわち、映画のなかでこれから世界に向かって羽ばたこうとする若い二人と、現実で役者として注目を浴びることが同時に起きている。それがこの映画の瑞々しさを突出したものにしている。

マイルズテラーはセッションで、シェイリーンウッドリーはThe Fault in Our Stars(きっと、星のせいじゃない。)ですぐれた演技力を証明してみせた。また二人ともダイバージェントで共演しているが、ウッドリーがダイバージェントのヒロインに抜擢されたのは、ちょうどジェニファーローレンスがハンガーゲームのヒロインになったことのような早期出世の類似がある。ベイビーのアンセルエルゴートを足していわば現代のブラットパックだと、個人的には感じている。

このあとハリウッドを代表する若手役者として大活躍をすることになる直前の二人。
その気配や予感が、映画のなかにも、あふれている。

マイルズテラーをこの映画ではじめて見たとき、若いころのスタローンに似ていると思ったが、もっとも魅力だったのは俳優っぽさが感じられないことだった。
妙な言い方だが、とても洗練されていない人だと思った。ニキビも幼さもある。しかし鷹揚で気負いがない。新鮮だった。
シェイリーンウッドリーもこの映画ではじめて見た。役回りのせいもあるが朴訥な感じ。身近さが美しさを上回っていて、やはり洗練はない。フェミニンでもない。ただし演技力ではローレンスよりウッドリーがうわ手だと個人的には思った。

その洗練されていない普通っぽさが映画の魅力になっていることは、サンダンスでもこの後の二人の活躍でも実証されている。

映画はまさにTHE SPECTACULAR NOWだと思う。英語をよく解っていないので訳せないが、うまくあらわせる日本語も無いような気がする。「いま、輝くときに」の邦題は、その通りだが、ややきれい過ぎる。映画はもっと等身大だ。

ひと夏のできごと。これからはじまる未来に向かってふたりが両手を拡げている。青春の真っただなか。挫折もするが、なんでもできるような気がする。それらがTHE SPECTACULAR NOWのタイトルに含まれ、あらためて英語の包括性には驚かされる。

ME AND EARL AND THE DYING GIRLとかTHE PERKS OF BEING A WALLFLOWERのように大好きな青春映画の一本。

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津次郎