劇場公開日 2019年12月13日

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「初めてのイラン映画」ある女優の不在 t.toraさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0初めてのイラン映画

2020年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イランの映画を見るのは初めてで、イランの映画事情も知らない。最後まで見られるかちょっと不安だったが、退屈しなかった。

パナヒ監督と女優ジャファリのロードムービーという感じで、荒涼とした風景、曲がりくねった砂利の細い坂道、乾いた村などの描写は、日本人の私には未知の世界で、そんな風景を見ているだけでも不思議な体験だった。それに、作中にBGMがほとんどないのも特徴で、演出がないのに逆に深く印象に残るという不思議な作品だ。

作中で、村の住民たちが「芸人は役に立たない」と厳しい言葉を監督に浴びせる。国の弾圧を受け映画製作を禁じられても、映画を作るために奮闘するパナヒ監督の強い意志に感銘を受ける。娯楽にあふれた日本の私は、この作品をきっかけに時間をかけてイラン映画を理解していきたいと思う。

t.tora