劇場公開日 2019年7月5日

「ドタバタ4人組の可笑しく悲しい冒険物語」ゴールデン・リバー kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

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4.0ドタバタ4人組の可笑しく悲しい冒険物語

kazzさん
2019年7月19日
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鑑賞方法:映画館

闇夜の銃撃戦で幕を開ける。
乾いた発砲音、赤く飛び散る火花、「ディーパンの闘い」のリアルな銃撃戦を思いださせ、期待が増す。

シスターズ兄弟は名うての殺し屋。
兄イーライ役のジョン・C・ライリーが原作の映画化権を持っていて、兄弟のどちらかを演じることを条件としたらしい。
「シカゴ」での芸達者ぶりが印象的だった人気バイプレイヤーだが、今回は主演。
最近では「キングコング 髑髏島の巨神」で良い仕事をしていた。
弟チャーリー役のホアキン・フェニックスとは似ても似つかない兄弟。
ま、ホアキンは実の兄リヴァー・フェニックスとも似ても似つかないが。
二人のキャスティングに合わせて、兄弟の設定を若干変えている。

躊躇せず相手を撃ち殺す非情さの裏に、実は心優しさを秘めている兄イーライ。
かつてショールをくれた憧れの女教師への想いを募らせていて、娼婦にその役を演じさせる場面は、滑稽で切ない。

酒好き女好きで粗暴な弟チャーリーは、実は提督を転覆させる野望を持っていたりする。
殺し屋稼業をやめようなどとは思ってもいない。
自分が兄をコントロールできると思い込んでいるところが、愚かだ。

つまりこの兄弟、どちらも頭が切れるどころか少しずつ足りないから面白い。

先乗りしてターゲットに近づき、殺し屋を誘導する案内人モリス役に、ジェイク・ギレンホール。
「ノクターナル・アニマルズ」での、元妻に回りくどい復讐を試みる作家役が良かった。
どちらかというと、ホアキン・フェニックスとジェイク・ギレンホールが兄弟と言われた方が違和感ないかも。
手記だか日記だかをつけている。
手紙しか通信手段がない時代、移動先ごとに殺し屋兄弟への手紙を残して、次の行動を指示する。
これを、モリスの寝返りの誤魔化しと発覚のサスペンスを演出するキーアイテムにしているところが絶妙。

ターゲットは、化学者(?)のワームという男で、リズ・アーメッドが演じている。
この人の本職はラッパー?
最近いくつかの映画に出演していらっしゃる…
このワームが理想の民主主義を語り、モリスが感化されていくあたりを映画では強調して描いているが、結局二人が命を落とすに至って、無念さを感じさせるのに良い演出になっている。

兄弟が提督が放つ追手から逃げるサイレントのスラップスティックは、スピルバーグっぽい演出で面白かった。
障害物のない荒野を馬で逃げながら、後ろの追手と撃ち合っているのなんて、何で追う側のタマは当たらないんだ?…なんて。

ワームが開発した薬品が何なのか知らないが、あれで金を短期間で大量に採取すると、環境汚染も甚だしいことになるのでは?
ゴールドラッシュで集まった人々は、恐らく少し下流にいて、川を生活の中心にしているだろう。
いくら塞き止めたとしても、下流の人々に影響しないとは思えない。

ガンファイトはいくつか描かれているが、この西部劇は最強の敵との対決が待っている類いの映画ではない。
ヤンチャが過ぎてボロボロになった兄弟が、母親のもとに戻って安息を取り戻すまでのオハナシ。
家の中をカメラが360°パンする演出が素晴らしい。

あ、ルトガー・ハウアーだったのか、あの人!!!

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kazz
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