「極上に渋い男のドラマ」PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0極上に渋い男のドラマ

2019年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

Case1がやや消化不良な出来だったが、こちらは見事な完成度。脚本が深見真によるものがよかったのだろう。血生臭さとSF的なギミックの使い方の上手さ、そして渋い大人のドラマと1時間とは思えない濃密さ。

軍隊の暗部を描いた内容だが、この物語で描かれたような汚い謀略の世界で、犯罪係数を上昇させないで生きること自体が難しそうだ。戦場のような場所では正気を保つこと自体が難しい、須郷徹平の係数が結局下がらなかったのが切ない。

SFギミックでは模倣AIという発想が面白い。疑似人格的なものだが、本人がいなくても人格とロボットにコピーしておけば、本人のように動く。このギミックがミステリーの中核に置かれていて、最後まで緊張感を持って物語を展開している。

須郷徹平も征陸智己も、数値が支配するこの世界で義理人情のために生きている。2人の人間関係は、数値の支配のテクノロジーによって引き裂かれたわけだが、それでも2人は人間らしく生きていく。生き方の選択として、本当にカッコいい2人だった。

杉本穂高