劇場公開日 2019年2月9日

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「河瀬直美のテーマを、他に描ける人がいた」洗骨 カメさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0河瀬直美のテーマを、他に描ける人がいた

2020年2月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

個人評価:4.1
滝田監督のおくりびとで描かれたテーマを、さらに掘り下げた作品であると感じる。
4年後にある洗骨という風習。残された家族にとって、それは例えではなく死者に再び会い、向き合う儀式。
通常の火葬で灰になれば、死者はその時点から過去の人になってしまうが、この洗骨という風習は、4年間は、まだそこに魂が存在してる死者である事がわかる。そして洗骨によって魂を綺麗し、おくりだす。長男が洗骨前夜に、母親に会う前に髪を切った様に、この島では、まだ母は現世に存在していると感じる。
本作は笑いのテイストも多数盛り込み、観やすく作られているが、この素晴らしいテーマであれば、笑い無しの脚本と演出でも観たいと思う。
河瀬直美が描き続けている風土と魂が、本作にもテーマとしてしっかりと描かれている。
私はゴリが監督という事で、よくある吉本の安易な企画映画として捉えていたが、それは大きな間違いだ。
この作品のテーマを自ら脚本監督した、照屋年之名義という人は、素晴らしい作り手だ。

カメ