劇場公開日 2019年2月1日

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「なぜ世界恐慌の時代にメアリー・ポピンズが再臨したのか。」メリー・ポピンズ リターンズ お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0なぜ世界恐慌の時代にメアリー・ポピンズが再臨したのか。

2020年7月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ほとんどの人が職を失った世界恐慌という暗黒の時代を舞台とし、あと5日で破産の瀬戸際に直面していた一家に、魔法使いのメアリー・ポピンズが舞い降りて来るというお話です。

楽しいミュージカルではあるのですが、子供たちは楽しいと思っていながらも、大人が破綻の危機を綱渡りしていることも感じており、そこからメアリーと家族の冒険が始まります。

それにしても、ディズニーはどうしてこの世界恐慌という暗黒の時代を舞台に据えたのでしょうか。
数年後、もしかすると「メアリー・ポピンズの映画が、あの時代の転機を象徴する作品だったんだよね」と思わせるような、繁栄と背中あわせの現在の危機の予感を、映画制作者たちが感じていたからかも知れません。

なお、英語の単語遊び「アナグラム」が多用されています。これは英語圏以外の人間にはまったくチンプンカンプンで、毛ほども面白くありません。
ちょうど日本語のおやじギャグ乱発の映画を外国の人がどう翻訳するのか悩むように、この映画の翻訳の人の苦労には同情させられます。

少なくとも世界中を対象に商売するつもりなんだったら、英語でしか理解不能なアナグラムなど、真っ先に回避すべきと思います。
もちろんここに書いたところで、映画制作者に伝わるはずもないと思うけどね。

ps.
オープニングのすぐあと、まだ観客がストーリーに完全に没入できていないところで、ディズニーランドのアトラクションのようなシーン(お風呂が入口)が出てきて、うんうん、きっとこういうアトラクションを作るための伏線ですね。やっぱディズニー。商魂が違うな……なんてことを感じたのも事実です。

著作権が切れた作品、それはすなわち全人類が共有し、全人類を豊かにする知的財産(パブリック・ドメイン)です。
しかしディズニーは二次著作によって、人類が共有する財産を一方的に囲い込み、私的に独占する(強欲とも言える)会社だと、再確認させられてしまったのでした。

お水汲み当番