劇場公開日 2018年11月16日

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「苦悩と葛藤の親心に涙。正解のない究極の選択。」人魚の眠る家 映画コーディネーター・門倉カドさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0苦悩と葛藤の親心に涙。正解のない究極の選択。

2018年12月22日
PCから投稿

悲しい

知的

難しい

【賛否両論チェック】
賛:愛する娘のために究極の選択をせざるを得なかった両親の苦悩が、感動の涙を誘う。答えのない選択の是非を問いかける内容には、考えさせられる部分も多い。
否:前半と後半でかなり雰囲気が変わるので、観ていて戸惑ってしまいそう。ややホラーチックな描写もあり。

 最愛の娘が脳死とおぼしき状態に陥ってしまった時、その悲しみを受け入れて、他の命に望みを繋ぐ臓器提供をするのか、それとも取りうる全ての方法をもってして、1日でも生かそうとするのか。決して正解のない問いに直面した夫婦の苦悩と葛藤に、観ていて胸にこみ上げるものがあります。
 そんな物語の前半は、最新技術に希望を託した薫子達に応えるように、出来ることが増えていく瑞穂の姿が、観る者の感動を誘います。しかし後半は一転、娘の身体に対する薫子の行き過ぎた干渉に対し、和昌や真緒といった周囲の人間達が問いかける是非について、緊迫した雰囲気の中で描かれていくのが印象的です。
 ラストも
「そう来ましたか!」
といった感じで、思わずグッと来ます。涙溢れる人間ドラマとしても、命の終わり方を考えさせられるサスペンスとしても観ることが出来る、そんな作品ですので、是非ご覧になってみて下さい。

映画コーディネーター・門倉カド