「「史上最低の駄作」を題材とした、抱腹絶倒のコメディ映画」ディザスター・アーティスト セッションさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「史上最低の駄作」を題材とした、抱腹絶倒のコメディ映画

2020年6月23日
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2003年に公開され、「史上最低の駄作」と酷評された『ザ・ルーム』を題材とした、切れ味バツグンのコメディ映画!
いやー、最高に楽しかった!

同作にて製作・監督・主演を務めたトミー・ウィゾーと、
準主役を務めた彼の友人、グレッグ・セステロの姿を描きます。

名作『ホーム・アローン』の存在すら知らないなど、
知識は素人以下であるものの、
映画製作への情熱だけは人一倍持っているトミーを演じるのは、
サム・ライミ版『スパイダーマン』などのジェームズ・フランコ。

型破りな人物像と、何故か応援したくなってしまう愛らしさを兼ね備えた彼の演技は、
まさにキャリアベストでした。

また、俳優としての自分に自信を持てなかったグレッグが、
トミーとの友情を糧に成功を追い求める姿にはストレートに感動させられる、
ブロマンスとしても秀逸な作品だと感じました。

そんな青春映画の一面も持った本作は、
トミーが繰り広げるドタバタに大いに笑ったのち、
次第に帯び始める不和の予感に悲哀を感じ、
彼らが迎える「青春の終わり」には両者ともに同情してしまうという、
非常に多面的な魅力にあふれていました。

グレッグ以外にまともな友人もおらず、人にバカにされる生き方しかできなかったトミーが、
笑うしかないほど酷い現実を受け入れ、それでも前を向いて歩いていくラストは必見。

どれだけ文句を言われようと、映画に情熱を傾け続けたからこそ、
彼の作品はカルト的人気を博したのだと納得させられるばかりでした。

ジェームズ・フランコは批評家に絶賛され、ゴールデングローブ賞まで獲得しましたが、
その翌日に5人の女性から過去のセクハラを告発された影響で、
日本では劇場未公開となってしまった今作。

ジェームズの行いは決して許されるものではないですが、
映画愛を高らかに謳ったこの作品、彼の背景を十分に理解した上で楽しんでいただくのがオススメです!

せき