劇場公開日 2018年4月6日

  • 予告編を見る

「身体と心を重ねて」娼年 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5身体と心を重ねて

2018年10月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

萌える

公開時から松坂桃李の脱ぎっぷり、絡み、濡れ場が話題だったが、こりゃ確かにスゲェ…。
ほとんどポルノかAV。
出始めた頃は若手イケメンの一人に過ぎなかったが、いつの間にか色んな役をやるようになり、まさかこんな役までやるようになるとは…!
もうただのイケメン俳優と呼ぶ人は居るまい。日本映画界の頼もしい実力派。今じゃすっかり同世代の中でも特に好きな俳優の一人。
濡れ場ばかり話題になるが、本作も彼の繊細な演技が光る。

無気力で、世の中も女性もSEXもつまらない。
淡々とバーのバイトに明け暮れる大学生の領は、ある日、魅惑的な淑女・静香にスカウトされる。
彼女はボーイズクラブの経営者で、娼夫の世界に足を踏み入れる…。

題材が題材なので、際どいシーンの連続。
本番さながらのSEXシーンは勿論、フ○ラ、手○キ、放尿、レ○プまがい&撮影、さらには痛みが快感の同僚と…!
凄いとは聞いていたが、想像以上。正直、びっくり。
際どく、生々しいが、でも卑猥には感じなかった。
女性たち各々の心の声…。
底無し沼のような果てなき欲求、特異な性癖、夫に相手にされない、夫の望みに応えたい…。
客ではないが、同僚の娼夫も然り。
抱える悩み、孤独、理解されたい、知って欲しい、見て欲しい…。
そんな欲求や声や孤独を、いい意味で“普通”の領が受け入れ、受け止める。
金の為に身体を売ったり、男が性の捌け口の為だけに女を買うのとは違う。

あっという間に売れっ子になった領。
邪な気持ちなどではなく、純粋に仕事にやりがいを見出だしていく。
そんな領にも人知れず抱えるものが。
未だ夢に見る亡き母の姿。
領を指名してくるのは年上女性が多い。
一見、彼に母性本能を擽られて…のようだが、実際はその逆ではないだろうか。
自分を包み込んでくれる癒し、温もり、触れ合い、存在…。
静香の肩を借りて泣きじゃくる姿なんてまさにそう。
最も孤独で、胸の内を聞いて欲しいのは、自分。
幼い子供のように欲したい、母の面影を求めて…。

この世界、この世界の人々、そう理解はされない。
汚らわしい。偏見。職業差別の対象。
本当はただのイヤらしい性欲を、美化しているのかもしれない。
単純に肯定も否定も出来ない。
だからこそ追い求めている。
理解を。胸の内を。
身体と心を重ねて。

松坂桃李の体当たり熱演も素晴らしいが、彼と絡んだ女優たちの、AV女優並みの喘ぎや昇天も称賛モノ。
中でも、江波杏子は貫禄違い!

同監督&松坂桃李主演で、映画より前に舞台で上演。
舞台でもあの数々の濡れ場を披露していたかと思うと…、一見してみたいものだ。

近大
アンディぴっとさんのコメント
2019年8月20日

ホントに濡れ場が凄くてビックリ‼️
それよりもこの仕事(舞台も含め)を引き受けた松坂桃李が凄い。最近の他の映画でも感じるけど、将来楽しみ。大物俳優の仲間入りですね。
ただのエロい映画ではなく、(こういう仕事が良い悪いは別として)主人公の女性に対する考え方や生き方が変化していく、前向きな映画だと思う。
観終わった後、嫌な感じは全く無い。

アンディぴっと