劇場公開日 2019年1月18日

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「いかにしてサリンジャーは青春の権化となり得たか?を知る作品」ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー ルナルナさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5いかにしてサリンジャーは青春の権化となり得たか?を知る作品

2021年2月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

自分は何か特別な存在だと思う反面、何の価値もない人間なんじゃないかと感じたり…、生きるとは何だろうと考え始めていた18、19歳の頃。出会ったのが『ライ麦畑でつかまえて』であった。
大人の作った社会に疑念を抱きつつ、大人になりきれないホールデン少年は、まさに自分の分身のように感じ、刺さった。大学の《好きな作家とその魅力》という課題でこの作品を取り上げたほどであった(その内容は忘れてしまったけど)

お陰様でその後、他の作家と作品にハマったので、作中の読者達のように取り憑かれ続けることはなかったけれど、『ライ麦畑でつかまえて』は間違いなく青春のバイブルとして刻み込まれたのである。

そのサリンジャーの伝記映画である。
まず91歳まで生きたとは知らなかった。しかも結構なブルジョワ育ちで、親子関係も悪くない。意外である。何かの寂寞感に迫られている彼の作品から想像出来ない。戦争体験が影を落としているのは分かった。
彼の作家としての人生を辿るには充分な作品ではあったが、彼の素晴らしさはやはりその創作物の中にしかないと感じるものであった。
願わくば彼の遺稿が活字となり、手に取る日が来ますように。

ルナルナ