田園の守り人たちのレビュー・感想・評価
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美しい田園風景と美しいだけではない人の暮らし
二人の女性の対比。
それなりの資産をもち、守るべき家族がいて、ときに冷徹な判断を下す人と、
聡明さと誠実さ、若さ、健康以外のものを持たずに家を訪れた人と。
戦争の悲惨さ、工業技術の進歩は、田園生活に影響を与えるが、田園風景は変わらない。
二人の女性が、共にあまりに聡明なので、彼女らの人生の選択が、果たして本当に理に適ったものなのか、僅かな違和感が残る。特に、女主人がなぜ優れた農場の後継者として身寄りのない若い女性を受け容れる度量を持ち得なかったのか。
質素だが美しい木綿の衣服、節くれだった農夫の指、若い女性の肉体美。100年前の農村のリアリティに引き込まれる。
それだけに、アメリカ兵がするVサイン(普及するのは20年後のはず)、フランス陸軍中尉がしている薄く小型の腕時計(当時パイロット以外が日常的に身につけられただろうか)、が引っかかった。
新人女優のイリス・ブリーの今後に期待。
1915~1920年代、農地を守る女性たち
女性は、自分たちの農地を守り、男性は、戦地に赴く。
舞台は、1915年から20年の5年間で、第一次世界大戦の戦時中が時代背景で、男性は、フランスからドイツの戦場に向かう。そんな時代の男と女の関係を描いている。映画の流れは、非常に単調である。
映像は、実に時代を映し、ロングショットが多く、ミレーの描いた「種をまく女」の画のようで映像は美しい。主に農地を守る女性目線で描かれている。戦地に行った男性を待つ女性の心情を細かく描いている。
冒頭映し出される、首のない敗残兵の静かな場面は、映像だけでも凄まじい。ジョルジュのうなされる悪夢の中、フラッシュバックでガスマスクをしたドイツ兵と現れる場面があるが、ドイツの「毒ガスの研究」を思い起こされて、ドキリとさせる。
話の流れは非常に単調ではあるが、女性が農地を守る。まさに「田園の守り人」という印象を描かれている。
後半、アメリカ人が残していった「トラクター」が、「農地における機械化」を語っているように感じた。
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