劇場公開日 2018年9月14日

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3D彼女 リアルガール : インタビュー

2018年9月13日更新
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中条あやみ&佐野勇斗、役ではなく“心で生きた”「3D彼女 リアルガール」

中条あやみ佐野勇斗は、映画「3D彼女 リアルガール」(9月14日公開)の撮影を「自分自身が、この作品世界のなかで“生きていた”」と明かす。脚本に書かれたキャラクターの一挙手一投足が、2人の心と混ざり合い、カメラの前に立つと、自然と感情があふれ出た。さらにそのことが、美女とオタクが恋に落ちる“ありえない物語”と結びつき、見る者を抱きしめるような優しい映画を紡ぐことが出来た。(取材・文/編集部、写真/間庭裕基)

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那波マオ氏の人気漫画を基に、「ヒロイン失格」の英勉監督が実写化。2次元の世界を心の支えに生きる“つっつん”こと筒井光(佐野)は、ある日、プール掃除を一緒にやるハメになった超絶美少女・色葉(中条)と急接近し、愛の告白を受ける。つっつんは「新手のいじめ?」と被害妄想にとりつかれるが、どうやら色葉は本気の模様。奔放な彼女に振り回されるなど初体験の連続に、つっつんはついに限界を突破してしまう。

中条演じる色葉は、そのルックスから学校中の注目の的だが、突拍子もない行動からか交友関係には悪い噂が絶えない。あることをきっかけに、つっつんに秘められた“周囲への優しさ”に惹かれ、自分から「付き合って」と告白。彼の心の機微に触れ、色葉にも変化が訪れていく。中条は「共感できる部分がたくさんあるんです。例えば、人間味の部分。色葉ちゃんは、伝えることが苦手だったり、そんな不器用な部分がとても共感できるんです」と述べる。

対して佐野扮するつっつんは、徹底的に不器用で、男女関係や“リア充”的生活に呆れるほど慣れていないアニメオタク。色葉らの無茶苦茶な要求に困惑しつつも、できる限りの努力を続け、自身の心の殻を破っていくキャラだ。佐野は「初めは、僕と違うキャラのように思えました」と話したが、「でも僕とつっつんは、考えていることが似ていたんです。自分に自信がなかったり、人が苦手であることとか」と説明する。

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必死に役づくりをする必要はなかった。感情が、役と自然にシンクロしていったからだ。そしてそれは、共演した清水尋也恒松祐里上白石萌歌ゆうたろうも同じだった。

中条「自然と役に入れたという気持ちが強くて。勇斗も共演するみんなのキャラも、自分が想像していたそのままの人物が現場にいたんです。演じるのではなく、そこで“生きている”感覚があって、カメラの前で、心と心で嘘のない会話ができたように思います」

佐野「ポーちゃん(中条のあだ名)が言う通り。僕、もう言うことないよ(笑)。周りのみんなが、心そのままでいてくれた。だから僕たちも、楽しいときは楽しくて、悲しいときは悲しい、素のままの感情でいられました」

物語は色葉とつっつんによる青春であり、同時に成長の軌跡でもあるだけに、2人の心情は時間を追うごとに少しずつ変化し、グラデーションのような微妙な模様を描き出す。キャラの魅力を全面に出し、観客を惹きつけられるように、2人はゴールから逆算し演じていたそうだ。

中条「色葉ちゃんについて、観客が後半にショックを受けてもらえるために、私は“普通”でいようと。つっつんといることで、普通の女の子でいられた。各シーンで、それをより強調できたら、と考えていました」

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佐野「つっつんの変化でお客さんを楽しませ、最終的にかっこいい姿を見せることが出来たら、と思っていました。最初は『マジやべえやつ』と感じてもらうため、自分が思うよりもさらにいろんな挙動を上乗せしていました」

終始コミカルに掛け合いを繰り広げ、仲睦まじく笑い合う2人の姿からは、現場がいかに楽しく、実りがあったかが垣間見える。また英監督の現場は、アドリブが飛び交うことでも知られている。今作でも、誰かが入れれば誰かがかぶせる“アドリブ合戦”の様相を呈し、中条は「誰が一番監督を笑わせられるか、という勝負になっていました」とふくふくと笑う。ちなみに、手応えのあったアドリブは?

中条「ミツヤ(清水)を殴って壁ドンするシーンは、監督にすごく喜ばれました。病院で裏拳をするところは『いいねえ、地元・大阪感でているね』と言われました(笑)。勇斗は、綾戸(上白石)さんとオタクの会話しているところでしょ?」

佐野「そう……じゃない(笑)! ゆうたろうくん演じる伊東を励ますために、みんなで『ハロウィンだ!』とやっているところ。クランクインして序盤だったんですけど、何を思ったか僕がふざけて『ハロウィ~ン』とやっていたら、みんなが乗ってくれて。監督も『いいね』と言ってくれて、あのシーンになったんです」

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物語のテーマは「コミュニケーション能力」。派手な美女と超消極的なオタク男子という、およそ交錯しそうにない2人が、言葉と思いやりを軸に徐々に理解し合い、恋に落ちていく。物語中盤、色葉がつっつんの家に行き、彼自身の“腸(はらわた)”とも言えるオタク部屋に乗り込むシーンがある。愛するアニメ「魔法少女えぞみち」のフィギュアがずらりと並ぶ棚を見られたつっつんは、「終わった……」と絶望する。しかし色葉は、ドン引きするどころか、「触ってもいい?」と愛おしそうに手に取り、肩を寄せ合ってアニメを鑑賞し始める。探し求めていた安らぎを、2人が同時に見つける重要なひと幕だ。

中条「正直に言うと、当初は普通に触ってから、『見ていい?』という内容だったんです。そうしたら監督から『ほんま、ガサツな女やなあ。普通、聞くやろ』と怒られたんです(笑)。なので『触ってもいい?』と聞いてから、手に取るシーンになりました」

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佐野「僕、このシーン大好きなんです。彼女にこんなところを見られたら、嫌われちゃう。そう思っているところを、色葉は負の部分をも受け入れてくれた。『なんていい子なんだ!』と、もっと好きになる気分でした」

好きなもの、好きな人を「好き」と言って、何が悪いのか。そして誰かが大切にするものを、自分も大切にすることが、どれだけ尊いことなのか。そんな“大事なこと”を知った色葉とつっつんは、脇目もふらずクライマックスへと駆け抜けていく。今作を鑑賞した後、観客はきっと、“誰か”に対して優しくなれる。

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