劇場公開日 2017年10月14日

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「長尺映画と言うより、フィリッピンで映画が作られていると言う驚き。」立ち去った女 はるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5長尺映画と言うより、フィリッピンで映画が作られていると言う驚き。

2020年10月14日
PCから投稿

何よりも映画のタイトルに惹かれて観てしまった。
モノクロームの光と影、固定カメラでのワンショット、昼と夜の交差が人間の善と悪を内包する心を表す。何時しか時間の流れを無視して見続ける僕。完全にこの映像世界に浸り込んで身動きができなかった。人の哀しみには同調しずらい。それは、喜びと違って哀しみには人それぞれ大きく違うからだろう。想像だにできぬものはこの世にいくらでも存在する。30年に渡る冤罪刑期は復讐心を満足させることなどない。そんなことは明白。にも拘わらず計画を練る彼女の姿がこの国の人たちの感情を痛々しく表しているかのようだ。禅問答のような台詞のやり取りや、彼女の夜と昼の姿が変わってしまうことへの疑問符は、波間で浮き沈みする空っぽの空き瓶のように回答はない。
優しさや献身は残酷なものなのだ。それは、快楽なのだろう・・・・。
生きていくというのは、そう言うことなのだろう。映像の力はやはりスゴイ。

はる