劇場公開日 2017年7月9日

「4月20日の事」コクウ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)

3.04月20日の事

2017年6月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

『That movie left me with a bitter taste in my mouth』
この作品も、OPピクチャーズ+のテアトル上映前に、成人映画として観に行ったもの。
榊監督ということで大いに期待して観覧した作品。しかし相変わらずの上野オークラ劇場の異空間に、これじゃテアトル新宿に間借りするのは納得するわと大いに納得。とにかくこの劇場、おじいちゃん達がせわしない。上映中でも構わず常に場内を闊歩。お目当てはジョソコさん、たまに男が連れてくる女(多分、露出癖)。落ち着いてスクリーンを観れやしない。三本ワンセットだから、こっちもトイレにいく事もあるので、人のことはいえないがまぁ、とにかくセカセカ落ち着き無い連中と鑑賞(泣)
冒頭のセンテンスの通り、『胸糞』『後味悪い』『Bad end』作品である。
幾ら最中に濡れ場があっても咆吼がラストでは抜けもしないポルノである。しかしそれが榊流であり、だからこそこんな客層の悪い劇場でも足を運ぶ。それ程、この監督のマジックに引っかかってしまったからだ。
前半から恋人との甘い濡れ場までは、冗長すぎるので不安は否めなかったが、これは確かに丁寧なフリであり、計算された構成の落差の妙。オークラ映画では常連の俳優が出ているので、その演出の違いは明らかに別格。もう、榊監督はメジャーに進出すべき能力を備えている筈だ。
だからこそ思う、もっと格上の俳優をピックアップすべきじゃないかと。せっかくのアイデアを無駄にしないように、次回作は是非とも実力ある俳優を起用して欲しい。
ストーリー的には近親相姦故の人格形成の失敗、それに伴う破滅への行進といったプロットなのだろうけど、ここで注目すべきは所属会社の御曹司?的な男の魔の手からそれこそ身体を張って守るシングルマザーの同僚の薄幸さに胸が締め付けられる。サブキャラだろうが、これ程切なく、そして悲哀溢れる立場は、改めてその着眼点に畏れ入る。
テアトル新宿では、多分大幅な編集差し替えなんだろうけど、そんな忖度が無くなる日は何時なんだろうか・・・

いぱねま