劇場公開日 2018年2月10日

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「映画愛溢れる一途な恋の物語」今夜、ロマンス劇場で みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5映画愛溢れる一途な恋の物語

2022年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

これほど素晴らしい作品だとは全く予想していなかった。本作は、映画愛に溢れた、若い男女の恋愛に真摯に向き合った感動的なファンタジー仕立ての本格派ラブストーリーである。

本作の舞台は昭和35年。映画全盛期。主人公は、映画の助監督をしている青年・健司(坂口健太郎)。彼は、映画館・ロマンス劇場に通い詰め、憧れのお姫様・美雪(綾瀬はるか)が主演している古い作品を観ることを楽しみにしていた。ある日、突然、美雪が健司のいる現実世界に現れる。健司は、当初、天真爛漫で勝気な美雪に戸惑いながらも、次第に惹かれていく。美雪も健司の一途さに惹かれていくが・・・。

本作は、奇想天外な現実離れしそうな設定であるが、4人の役者の演技が奏功して、感動的な作品に仕上がっている。何と言っても、美雪を演じる綾瀬はるかが素晴らしい。彼女の生活感のあまり感じられない佇まいが、スクリーンから飛び出した、お姫様という役柄にピッタリ当てはまる。オードリーヘップバーンを思わせる数々の美しいファッションにも目を奪われる。彼女の良さが最大限に引き出された作品と言えるだろう。間違いなく彼女の代表作になるだろう。

健司役の坂口健太郎も負けてはいない。美雪とは好対照の、映画好きの不器用で一途な青年を熱演している。美雪への熱い想いが胸を打つ。大スター役の北村一輝は当時の大スターがどんな存在だったかを快演している。主人公とのやり取りが面白い。ロマンス劇場の館主である柄本明は、人生経験豊富な達観した佇まいで、ちょっとした台詞の一つ一つが味わい深い。

前半は、面白いラブストーリー程度だったが、後半に入り、徐々にラブストーリーのクオリティが高まり、切なさが増してくる。自然に涙が溢れてくる。ラストシーンは敢えて劇的な展開にはせず、そうであって欲しいと思っていた納得の幕切れだった。台詞は少なく、映像表現で観客に語り掛けてくれたので、その分、作品に感情移入ができ感動的だった。

本作は、全編を通して、仄々とした、包み込まれるような温かさ、優しさが感じられる。心地良く鑑賞できる作品である。主人公を始めとして映画に関わる登場人物が多く、映画愛に溢れる台詞が盛沢山で、設定を含め、映画ファンには堪らない作品である。

みかずき
さんのコメント
2022年7月13日

みかずきさん

悶です。
レビューへのコメントありがとうございました。

本作品、劇場で観逃していたものを、現在でも評判が高いことを知って、動画配信で鑑賞したものです。
私は、やはり劇場鑑賞は、集中して観ることができるので、評判のよい作品は、できる限り映画館に足を運ぼうと考えています。
でも、動画配信にもよいところがあって、鑑賞後、冒頭のシーンを再度観ることができることです。

老人となった牧野助監督(加藤剛さん)の病室を訪れる看護師さんが、同僚の看護師さんと会話するシーンがあるのですが、そのセリフの中に、驚くべき「伏線」があるのです。
切ない恋の内容に関連することがさりげなく、セリフに入っている。
よい映画というのは、こういう細部の作りが見事なものが多いと感じています。

共感作があれば、今後とも、コメントよろしくお願いします。

それでは、また。

悶
おじゃるさんのコメント
2022年3月18日

みかずきさん、たくさんの共感&フォローをありがとうございます。
趣味で毎週末に映画を観ているだけですので、なんの知識もなく、たいしたレビューも書けませんが、こちらこそよろしくお願いします。

おじゃる
えぷりんさんのコメント
2022年3月13日

こんばんは。みかづきさんフォローありがとうございます。
こちらの作品、大好きな作品の一つです。まさに、映画愛に溢れていて映画好きにはたまらない作品ですよね。熱のあるレビューに嬉しくなって思わずコメントしてしまいました。

えぷりん
はなもさんのコメント
2022年3月12日

こんにちは。
 この監督は、飛んで埼玉、テルマエの監督だったんですね。で、はるかさんをすごーく綺麗に撮っていたし、映画への愛情が溢れていた作品でしたね。ホントに心に残る作品でした。

はなも
みかずきさんのコメント
2022年3月12日

はじめまして。CBさん。

多くの共感ありがとうございます。

このサイトには先月登録したばかりです。
宜しくお願いします。

昭和35年は映画の最盛期の頃でしょうか。
本作のなかで登場する撮影所も熱気がありましたね。

では、また共感作で交流させて下さい。

-以上-

みかずき
CBさんのコメント
2022年3月12日

> 本作の舞台は昭和35年
そうなんですね。俺の生まれた年だ。

CB