ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のレビュー・感想・評価
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静謐な前半と怒涛の後半、その気迫に心底驚かされる
ショーン・エリスの監督作に『フローズン・タイム』という傑作がある。芸術家がいかに時間を操るかのように時を止め、日常の一瞬をすくい取ることができる存在かを描いた作品だったが、この時に感じたいい意味での青臭さが、この新作では驚くべき重厚さに高まっていた。チェコでの撮影も、まさに『フローズン〜』の能力を駆使して、時が止まったかのような建築物や情緒あふれるアングルを切り取って、そこに当時の張り詰めた空気、きな臭い世相を見事に描き込んでいる。
いざ暗殺計画を実行する中盤付近から怒涛の展開が始まる。霧がかった風景の中で巻き起こる息の長いシークンエンスの演出力に驚くと共に、そこからのレジスタンスたちの逃げ場のない運命、そこから発露する執念が滲とてつもない見ごたえとなって胸に迫る。感情を押し殺したキリアン・マーフィら男優陣たち素晴らしいが、可憐な花を添える女優たちの名演も本作の完成度に一役買っている。
一番ゲスいのは…
タイトルからにじみ出るB級感に反して映像も綺麗なよくまとまった良作だった。
序盤は緊張感たっぷりのサスペンス。物語の真ん中くらいで転換期がきて、この後どうするの?と思っていたら後半は激しいアクション作品でした。
かなり長い時間アクション場面が続くのだが、エピローグから察するにどうやらこっちのほうに重きをおいて作品を作りたかったようだ。
重厚なサスペンスからのあまりの変化に驚いたが、前半、後半ともに大いに楽しめた。
ところで、戦争中なので至るところで過激だが、中でも一番ゲスいなぁと思うのはナチスではなくチェコ政府だと思うのです。
彼らは作品中に登場しないが、自分達はロンドンに逃げて安全な場所から指示を飛ばす。
作戦を実行すれば国民の命が危険にさらされることはわかっていたはずなのに、国連軍に認められるためにあえてそれをやった。
数千数万の国民の命より政府を選んだ。民がいれば国は成り立つ、国とは人だ(土地も必要だが)
つまり彼ら政府の人間は、若者たちの愛国心を煽っておきながら自分達は国よりも自分達政府を優先したのだ。なんともゲスい話ではないか。
突き詰めるとチェコ政府を煽ったイギリス政府が一番ゲスいということになるが、まぁ大体合ってるだろう。
❇️死ぬ覚悟の隙間で恋をしてしまう兵士の心理が切なかった。
ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦
🌀おおまかな情勢背景。
1938年
ヒトラーは軍事政権で脅し、チェコの譲渡を提示していた。チェコは各国に見放され、ドイツに戦わずにして占拠された。その一年後第二次世界大戦が勃発。ヒトラーはチェコ内の反乱分子は残虐で有名なハイドリッヒに一任していた。
1941年🇨🇿チェコ。
ロンドンにあるチェコスロバキア亡命政府からエージェントとしてドイツに占領されたチェコに潜り込む、ヨセフとヤン。仲間を探し、同志にエンスラポイド作戦の驚愕の内容を伝えると、少しづつ協力者が増えていく。それは密告される危険も伴っていた。この作戦の危うさと個人の力が不可欠な任務に反対する者も現れる。作戦は遂行できるのか⁉️
❇️死ぬ覚悟の隙間で恋をしてしまう兵士の心理が切なかった。
◉80D点。
★彡ユダヤ人虐待とは違う目線でのナチスの怖さを感じられました。
わかりやすく、感情移入しやすかったです。
★彡タイトル覚えにくいよ。わかりやすいけどね。
🟢感想。
1️⃣タイトル長っ!!
★彡わかりやすいとは思うがそのまんま😆
2️⃣暗殺任務と恋路の結末が気になる。
★彡死を覚悟した任務内の不安に動揺する周囲。
3️⃣緊張感が凄い。
★彡目的ははっきりしているが完了した後はノープランな事が切ない😱
4️⃣後半のシーンが辛すぎる❗️
★彡関わった人達の特定や追い込みが凄い。
5️⃣誰だって裏切り者になる可能性がある。
★彡家族や恋人などに危険が迫れば裏切り者になる事もあるかもしれないと思わせるストーリー力!
うん、深くつらかった、
前半の準備を進める流れと、後半の決行からそのあとの激しさとで、内容が内容なだけに重くもあった。
しかし、こういう映画でいつも思うけど、当時のナチスの連中は、残酷で非道で凄惨なことを各地でよくできたものだ、と。
最低限の人間としての感覚、良識がなくああいうことが実際にあったことに、従う軍人の連中もそうだし、ただあきれもする。
狂気の、洗脳されたような時代ではあったんだろうけど、そんなことしたって世界は変わらんし、実際変えられんかったのに。
第2次世界大戦中、ドイツ占領下のチェコで起こるナチス高官ハイドリヒ...
第2次世界大戦中、ドイツ占領下のチェコで起こるナチス高官ハイドリヒ暗殺とその行く末。
実話に基づいて描かれている作品。
同じ人間が起こしたことかと思うと、怖く、悲しかった。
リアルで緊張感、恐怖がすごく伝わってきて、すごい作品でした。
タイトルが悪い
本作はとても出来のいい作品だった
ウィキペディアとほぼ同じ流れが再現され、美しいチェコの風景も、
当時のレトロ感と相まってとても美しい様子が描かれている。
ただ史実どおりというわけではなく、ロマンスやドラマを織り込ませ、
パンチの効いたドイツ軍の悪行も表現され緩急のある作品だったと思う。
そこにはヒーローの姿よりも、戦争が多くのものを奪う姿が映されていたように思う。
最後までハラハラ・ドキドキして、「おいウィキペディア。この先どうなるんだい?」と歴史を調べてしまったほどだ。
しかし正直このタイトルはなんなんだ。Anthropoidでなぜ行かなかった。
このタイトルによって多くの新規流入を失っている気がする。
正直、映画を止めるたびに目に入ってくるこのタイトルに、B級感しか感じなくて、
あれ?ほんとに僕が見ている映画のタイトルで合ってる?って何回もなった
おそらく、トップ層は「いやそんな哲学チックなタイトルだと、どんな映画かわからならないだろ?もっとタイトルで一発で分かる名前!それしかないでしょ!あと俺ランボーとか山猫系好きだからさ、山猫は眠らない、俺が眠らせない的なやつでお願い」といった様子が伺える。きっと担当者はもっといいタイトルを何個も考えたに違いない。
そう配給の裏側まで妄想してしまう、そんな映画だった。
暗殺までの静かな展開と怒涛の後半
ロンドンからパラシュートでチェコに降り立った若者たち。
前半は静かに物語が進む。これから本当に暗殺を実行するのか、現実味がないくらい。恋人との束の間の時間も過ごす。
暗殺を実行し、教会に避難してからは怒涛の展開。実際に6時間、教会に立て籠って戦ったという。
自由のために戦った者、彼らを匿うなど助けた者、報復という形で命を奪われた者、その全てを忘れてはならないと深く思った。
タイトルなし
第二次世界大戦中、小国であるチェコはドイツに占領される。主人公たちパラシュート部隊は悪名高い殺戮者ハイドリヒの暗殺を命を受ける。こんな歴史があることを知らなかった。若き主人公たちの束の間の恋、愛国心から自らの命を賭す姿が描かれ、ラスト死ぬことはわかっていながらの銃撃戦、協力者たちの処刑等、戦争の怖さ、緊迫感が伝わってくる。
暗殺決行日はスポーツの試合
明暗を決するターニングポイントとなる日に向けて、計画を緻密に練り、当日を迎える。本作でいう暗殺実行日。スポーツに例えると試合当日。
本作を鑑賞して、試合を何倍も面白くするためには、試合の背景を知ることだと腑に落ちた。
試合の意味を知ることは重要で、意味のない試合ほど無味乾燥なものはない。
背景を知り、意味を理解することは、試合を盛り上げてくれる激辛スパイスである。
報復
苛烈である。青酸カリをあおった後の変わり果てた姿にゾッとする。ハイドリヒの死に全くカタルシスを与えない。ただレジスタンスの運命を追いかける。銃撃戦の凄まじさ、放水の中、光さしこむ絵の美しさ。終盤に向かって引き込まれる。
【ラインハルト・ハイドリヒの暗殺の大きすぎた代償を苛烈さ極めるレジスタンス達の哀しい闘いで描き出す】
圧倒的な力を誇っていたナチス・ドイツのレジスタンス達をキリアン・マーフィー、ジェイミー・ドーナン、ハリー・ロイド、トビー・ジョーンズ達魅力的な英国男優と、彼らをサポートする女性を、シャルロット・ルボン、アンナ・ガイスレロヴァーが演じる。
最初から最後まで、尋常ではない緊迫感が溢れる作品。当初の目的は何とか果たしたレジスタンス及び協力者達に襲い掛かる、ナチス・ドイツの凄まじすぎる拷問と報復攻撃。ゲルマン民族の当時の恐ろしさを思い知った。
彼らの行いは正義の名のもとに行われたのだが、代償は余りに大きかった。歴史の事実であるからこそ、猶更、鑑賞後重い気分で劇場を後にした作品。
<2017年10月7日 劇場にて鑑賞>
緊張感
かなり緊張感のある映画でした。
最後まで気が抜けなかった印象です。
序盤の1時間は、暗殺の準備になるわけですが、ナチス統治下のチェコでの行動のため否が応でも緊張感があります。
しかし、後半はに比べると桁違いでした。
暗殺計画後の追跡は、行き着く暇もありません。
見終わった後、戦争の悲惨さや人間が戦争というだけで、あそこまで非情になれるのか考えさせられます。
教科書には載っていない、史実を記憶できたことに感謝します。
最後に邦題は、もうちょっとなんとかならなかったんでしょうか。
タイトルから想像するより詩的な映画
キリアンさん、煙草と銃が似合いすぎでは…最高に渋かった。静かにダンスを踊るシーンも。
「ハイドリヒを撃て!」、タイトルに感嘆符がつくほどだし(?)、ごりごりのアクションなのかなと思ったけれど、予想以上に詩的な作品。
「口紅をしてるときだけが幸せ。たとえ1時間でも」
というような女性の台詞が切ない。
化粧の力はすごいよね。口紅塗るだけで、強く、満ちた気持ちになれる。
ハイドリヒをやるくらいならヒトラーをやれ!
1941年、ナチス占領下のチェコスロバキアに、ロンドンにあるチェコ亡命政府からの密命を帯びていた2人の若者、ヨゼフ・カブチーク(キリアン・マーフィ)とヤン・クビシュ(ジェイミー・ドーナン)が降り立つ。彼らの目的はナチスのナンバー3と言われるラインハルト・ハイドリヒの暗殺。わずかな頼りでレジスタンスの仲間に合流し、綿密な計画を立てるのだが・・・
てっきり暗殺そのものがメインテーマとなってるのだと先入観を持っていたのですが、それは間違いでした。ハイドリヒはナチ秘密警察を束ねる国家保安本部(RSHA)の長官で、ヒトラー、ヒムラーに次ぐ親衛隊の実力者。ゲーリングから「ユダヤ人問題の最終的解決」の委任を受けており、ホロコーストの最高司令官ともいうべき存在であった。「プラハの虐殺者」という通り名を得るほど、反体制派の指導者層を次々と逮捕、処刑していった人物だ。
暗殺指令はエンスラポイド作戦と呼ばれ、ヨゼフとヤンは忠実に作戦を練る。毎日どこを通って自宅へ帰るのか、このカーブでは徐行するからここで狙おう、などと。しかし、レジスタンスのメンバーの中には暗殺計画に反対する者もいた。ハイドリヒを殺したところで、報復措置として一般市民が虐殺を受けるとか、代わりの総督が新たにやってくるだけとか・・・彼らの中にも葛藤があったのです。
暗殺決行の日はとてもスリリング。前日にはヤンがパニック障害を起こすなどして、責任がヨゼフずしりとかかる。しかし、実行する段になってヨゼフの自動小銃が作動しない。ヤンは手榴弾を投げる。緊迫感溢れる暗殺も失敗に見えたが、しばらくしてハイドリヒは病院で死亡したというニュースが入るのだった。
もちろんレジスタンスの中にも裏切り者はいる。実行犯を密告すれば懸賞金が出るだとか、そんな甘い誘惑に騙されて密告するものの、逆に他の仲間の名前を吐けと拷問される。可哀そうだったのは、ヨゼフたちを匿っていた一家。教会へ逃げろと教えてくれたモラヴェックおばさん以外にも息子のヴァイオリニストが拷問される。レジスタンスは皆青酸カリのカプセルを常に携帯しているが、このおばさんも持っていたのだ。
最終的には教会に立て籠もったパラシュート隊の7人の籠城戦。息苦しくなるほどの銃撃戦が繰り返され、胸がしめつけられる思いです。それでも皆青酸カリカプセルを持っているし、銃弾は自分用に1つ残すようヨゼフが伝えるのだった・・・
なんとも重厚なドラマ。これが全て実話だというのだから驚きです。結局はナチによる報復で5000人以上が虐殺されたというテロップにも考えさせられる。映像がまたオレンジ色っぽい仕上がりになっていて、手持ちカメラによる揺れで緊迫感を生み出しているのです。また、ナチ以外はみんな英語だったのでわかりやすかったですよ。
1942年5月27日エンスラポイド作戦を描くのかと思いきや
戦争アクション映画だと思てみると辛くなる史実もの。
WW2で見捨てられたチェコスロバキアの悲劇。
暗殺作戦がメインではなく、その後の報復の悲惨さのほうがメインになっている。
教会での絶望的な抗戦が長く続く。
拷問シーンやお母さんの生首シーンがあるのでPG12
終始キリアンマーフィ
青酸カリ
自決
そうさせるくらい当時のナチスの仕打ちが酷いってことなのだろう。
ジェシカチャスティン似の女優が出てる
ナチとチェコスロバキア
連合国に見放され、ナチスドイツのポーランド侵攻前に侵略されたチェコスロバキアのレジスタンス実話。
ユダヤ人大虐殺の主要権力者の一人、ハイドリヒが占領下のチェコスロバキアで行っている粛清に危機感を持ったイギリスはパラシュート部隊を派遣、暗殺を企てる。
後半は展望がないためとても重苦しい。
新宿武蔵野館にて観賞
「類人猿作戦」については、既に『暁の七人』が描いている。
怖気が走るほど非道なナチスの統治下にて任務を遂行する心細い雄壮さと、それにより受ける凄絶な対価が描かれ、胃がキリキリと痛み底冷えする傑作だった。
見た後で知ったが、『暁の七人』は史実をかなり忠実に描いていた。
本作は史実から、おそらくだが色々と脚色が施されている。束の間の逢瀬、それからの悲恋などドラマティック過ぎるくらいだ。
傲岸で激しやすいヨセフ(キリアン・マーフィー)と、情に厚いヤン(ジェイミー・ドーナン)とキャラクター付けも分かり易い。
裏切り者チュルダも大事なところでヘマをする後付けの人物造形が為されている。チュルダの裏切る理由は金と怯懦で史実通りだが、「あの時代、誰もが立派でいられなかった」という感じの『暁』と比べて冷淡だ。
レジスタンス夫人の亡き後の斬首なんかも史実とおりだが、リアルの取捨選択がサディズム的で少々嫌な気分になる。
反比例して作戦の描写は非常に雑。
『暁』で丁寧に追われた暗殺へのトライアル・アンド・エラーは大幅に省かれ、重要なハイドリヒ暗殺の場面も『暁』とは比較にならないほど史実の再現度は低い。
と観賞しながら『暁の七人』と比して不満ばかりを感じたものだが、最期の境界包囲戦に於いて、一気に本作に引き込まれた。ショーン・エリス監督の本領は此処にあったか。
場所の利を活かして大勢を圧倒する姿に説得力があり、また銃撃戦の迫力においても『暁』を大きく上回る。
凄絶なその姿は、前半鈍かったジェイミー・ドーナンやハリー・ロイドといった役者も光らせている。
この戦闘シーンだけでも劇場で観る価値のある作品だ。
…だがしかし、何故か作り手はこの戦闘シーンに、テンポ悪くレジスタンス首謀者の自決を挟んで戦いへの没入を妨げるのだ。何故に。
地下で水攻め中の自決も、過剰にロマンティックで結局気が削がれるのだった。
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