劇場公開日 2018年2月16日

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「10代だった私の聖書」リバーズ・エッジ hhelibeさんの映画レビュー(感想・評価)

3.010代だった私の聖書

2018年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ギリギリで観た。
10代の頃、原作を何度も何度も読んでは心のよすがにしていた身としては、もしどれだけ駄作だったとしても、劇場で見届ける義務があるような気がして。

役者はみんな、当て書きかと思うほどのハマりっぷりだし、これ以上ないほどがんばってる。
二階堂ふみはハルナそのものだし、懸念してたSUMIREもこずえの存在感があった。
森川葵なんて、渋谷系に傾倒する女の子そのもの!
山田君も観音崎も、ほんとに原作から飛び出してきたよう。
その中でもルミ役の土居志央梨は凄かった。根はいい子なんだけど深く考えず生きてるうちにとんでもないことになってしまう役を、まさに生きていた。

役者は言うことなし、ストーリーはほぼ原作通り…なんだけどどうしてもモヤってしまうのは、やっぱり私が行定演出が好きじゃないからなのかな…。
同じ原作とキャストで別の監督が演出したものが見てみたい、と思ってしまった。 西谷弘バージョン、呉美保バージョンとか…

現代設定にするのは難しいと思うけど、「ウゴウゴルーガ」「ロケットパーンチ」「キテレツ」みたいなワードを原作のまま使う必要があったのかなぁ?
原作では時事性を盛り込むことで「あなたと地続きの物語」と伝える意味があったと思うけど、2018年に映画化するにあたってそれを入れると「過去の物語」ってことの強調にしかならないし、今の若い人が見たら「何それ」「寒っ」としか思わないんじゃないかな。
と思えば「ありえない」「ヤバい」みたいな現代語も現代的に使ってて、時代劇としても中途半端。

原作にあったキャラクターのモノローグを入れなかったこととか、映画オリジナルのインタビューシーンとかはそれなりに効果的だったと思うけど、最後のハルナのインタビューはさすがに長すぎ&説明過多。

と色々思うところはあれど、あの原作を忠実に映像化してくれたことの意味はあったのかもな、とエンドロールのオザケンの声を聴きながら思った。
それにしても、この過剰でいびつな物語は、今の真面目でバランスの良い若者たちの目にどう写るんだろう。

hhelibe