孤狼の血のレビュー・感想・評価
全391件中、1~20件目を表示
今の時代に面白いヤクザ映画を送り出そうという気概が感じられた快作
「仁義なき戦い」「アウトレイジ」などのヤクザ映画が好きな方には、たまらない1作。白石和彌監督作品のなかでは、実録ものの「凶悪」と、喜劇の要素も入った「日本で一番悪い奴ら」の中間ぐらいのリアリティで悪人だらけのピカレスクドラマが展開され、グイグイ見させられてしまいます。昭和末期という時代設定も絶妙で、マル暴刑事役の役所広司氏と新米刑事役の松坂桃李氏のバディものとしても心に残るものがありました。
人気俳優が多数出演する邦画大作だと、ヤクザ映画とはいえこの描写は見せられないだろうな……というところもしっかり映されていて作り手の覚悟を感じました(R15+指定)。スタッフ・演者とも今の時代に面白いヤクザ映画を送り出そうという気概が感じられ、ヒリヒリするようなやりとりをする役者陣が、皆ノッて楽しそうにやっているのが伝わってきます。
俳優たちの嬉々とした表情が成功を証明
東映が久しぶりに放った、東映らしい作品。
広島・呉の撮影現場(養豚場のシーンなど)も訪れたが、目を見張ったのが爛々と輝く役者たちの眼差し、嬉々とした面持ち。それぞれがフルスロットルで撮影に臨んでいたことをうかがい知ることが出来、そしてまたそれが本編に無遠慮に映しこまれているのが素晴らしい。
続編はまだだろうか……。
白石和彌監督が現代の“実録”に挑む
往年の“実録”物で一時代を築いた東映は、「日本で一番悪い奴ら」を配給して、白石和彌監督なら“実録”の現代版を作れると確信したのか。「仁義なき戦い」の影響を公言する柚月裕子の原作の映画化権を獲得し、白石監督、役所広司主演で完成させたのが本作だ。
内容だけでなく、レトロ感あふれるナレーションやタイポグラフィには懐かしさを覚える人も多いはず。一方で“実録”を知らない若い世代には、北野武監督の「アウトレイジ」や、白石監督のバイオレンスに満ちた諸作を連想するかも。実際、石橋蓮司やピエール瀧ら北野組と白石組の常連も若干既視感を誘う。
映画を牽引するのは「渇き。」のアウトローな元刑事役を彷彿とさせる過激なキャラクターを体現した役所の圧倒的な存在感と入魂の演技。還暦を越えてなお男の色気と暴力性をムンムンと発散する役所のエネルギーが、共演陣の熱演とぶつかり合い、スクリーンからあふれ出てくるかのようだ。
面白い、面白い、面白い!
BSを録画して視聴。
2018年の作品。
とにかく面白い、面白い、面白い。
役所広司は本当にスゴイ!
「PERFECT DAYS」の演技とは真逆の激しさ。
ヤクザなのか刑事なのか。
暴力団の深部までグイグイ入り込むマル暴刑事。
犯罪であることを承知で手段を選ばず徹底的に証拠を集める。
カタギを守ることに生命をかけるヒーローか。
バディのヒロダイこと日岡を演じた松坂桃李も最後は凄みのある刑事に変貌を遂げる。
中村倫也がチンピラ役だったのに驚いた。
朝ドラのイメージがあったので。
あっという間にエンドロール。
見応えあったなぁ。
狼の汗と涙に酔いしれろ!
ヤクザ映画は詳しくないし、あんまり好きでもないし、観るべきか観ざるべきか、結構迷っていた「孤狼の血」。
だだ「ひとよ」を観て本当に素晴らしかったので俄然興味が湧いたのです。白石和彌はモロ好みの監督なんじゃないかと!
結論としては、最高だった!
「東映が満を持して放つヤクザ映画の最高峰」みたいな煽り文句にビビり、今まで観てなかったことが悔やまれるレベルで好き!つーか、ヤクザ映画じゃないよね。警察モノのお仕事映画だよね!
まだ2本しか観てないから、あってるかどうか判らないけど、白石監督の映画には緊張感のあるアップが多い。役所広司演じるガミさんと、松坂桃李演じる日岡の、二人のやり取りがアップで映し出される。
それだけで緊張感マックス、汗臭さマックス。瞬きから、口の端の微妙な動きから、キャラクターが色濃く滲み出て見応えもマックス。
こっちは真冬に観てるっていうのに、じっとり首筋に汗を感じるような臨場感。
これは脚本が良いんだろうけど、全ての登場人物に思惑があるし、それが透けて見えるから濃いアップのやり取りでストーリーが進んでも違和感無いんだよね。「オレはこうしたい」がまず伝わってくるの。
表面的な暴力やらグロテスク系のシーンの事を言及されちゃうのは仕方ないのかも知れないけど、「孤狼の血」の真骨頂はやっぱり人の心の抉り出し方にあると思う。
視点となってくれるのが堅気度100%の日岡刑事なので、物語や世界観にすごく入りやすかったのも最高に楽しめた一因だと思う。
日岡の目線で不信感を募らせ、日岡の目線で理不尽さに憤り、日岡の目線で全てを悟る。
そして「最低だ」と思っていたガミさんの事を好きになる。
当然役所広司と松坂桃李の演技も素晴らしかったけど、地味なところで中村倫也の目が飛んでる感じがすごく良かった。
音尾琢磨も「ひとよ」の叔父さんがいい人だっただけに、こっちはめちゃくちゃ嫌な感じで最高だった。
脚本、演技、映像とどれもが最高!って思ったら、そりゃあ「最高だった!」っていう気持ちになるよな。
今後も「白石和彌」と聞いたら観たくなるんだろうな、と確信した。
新ヤクザ物
2023
83本目
ヤクザ物自体にあまり反応しない輩ですが、役者の顔ぶれ見たら観たくなった。
知らない間にジリジリ引き込まれて最後まであっという間に終わりました。
チープ感も全くない。
時代も昭和63年が舞台なので、現代とは違うノスタルジー感もある。電話の音なんかもその一つ。
役所広司は勿論の事、松坂桃李の後半には見入ってしまう。自分自身の感情も彼に乗っかるようなシーンだったので見入ってしまった。
目がヤバい。
これは観るべき作品かも。
昭和感の表現が味ある。雰囲気作りの上手い作品
内容は、柚月裕子原作の映画化。舞台は昭和63/4昭和最後の年で時代の変わり目。広島の呉原東署捜査二課に勤める新人主人公・広大とバディの大上が繰り広げる。警察署内・暴力団の抗争・一般人の関わりについて考えさせられる話し。印象的な台詞は『わしら食われる前に食うしか無いんぢゃねーかのー?!』大上さんの言葉。新人刑事に対する不信感と共感する気持ちの中で打ち明けた極論の姿勢を話す言葉。印象的は場面は、令和のこの時代に表現された忘れ去られた昭和感が非常に良い。プルタブに看板や雑誌に自販機などその他諸々が世界観の造り込みが凄いなと感じた。特に身体部位が上手く切断指・生首・腐った死体・水死体が素晴らしく生々しくて親和性を感じました。印象的な場面は、さはり最後の墓参りのシーンで美人局が解った後、呉の街並みを見下ろしながら形見の孤狼ジッポでガミさんのハイライト(煙草)に火をつけガミさんの意思を継いでいこうと呪われる場面。レベル2を予期させる上手い終わりだと感じました。強いて言えば大上さんの目的の動機がいまいち説明されず原作に書かれてるのかなと感じた所です。そこが観ていて気になりました。悪を倒すのは正義では無く更に強い悪意なのです。
警察の仕事
やはり、心底人々の安全を守ろうとしたら、自分の事は後回しになり最期は命まで取られてしまう。命を賭してまでとは思わないが、この仕事の究極は大丈夫にしても命を賭ける気構えが必要で、なかなかそんな人はいない。
3.4バランスの良い良作
キャストが豪華でありながら、ハードボイルドな感じが見ていて飽きが来なかった。
話はどこかで聞いたような感じであるが、エロすぎず残酷すぎず程よい塩梅で進んでいく極道映画。あまり難しいことは言っていないので気軽に見れた。次回作も見たい。
映画も原作も迫力にのまれる
白石監督ならではの暴力シーンもありながら、男同士の汗に血にお金に女に…とハチャメチャそうなのに、見入ってしまう。
役所広司の強引な刑事ぶり、原作よりも過激な味付けがされているよう。こんなゲスな役所広司も見たかった。
松坂桃李がこの作品で、より好きになった。この作品のスタート時は初々しさもあり、役所広司演じるガミさんと交わることで、どんどんダークな世界にはまっていく様。ひとつのストーリーの中での表情や態度、目つきが変わっていくのがすごい。
脇をかためている俳優陣も迫力があり、原作をもう一度読んで、また映画にも原作にも心ゆさぶられてしまいました。
話は悪くないけど
内容は悪くは無いと思うのだけど、
正直途中から予想は着いてしまう。
仁義なき戦いにとにかく
似た演出は、多大なるオマージュなのだろう。
しかしオマージュ元越えられていない。
主演の役所、そして石橋などの
強面面々は良いのだけれども、
他が見目良すぎる。
広島のゴテゴテのヤクザたちが
頭も小さくてシュッとしてて
顎も細いし線も小さい、
江口洋介や竹野内豊にとてもじゃないけど
おとなしく従うわけねーだろ!
松阪桃李にいたっては女の私だって
倒せそうだもの。
演技も過剰気味だけどもまあ
頑張りなんだろうなと良いとして、
昭和の暑苦しい感じを現代の人で
表現するのは無理だろうなと
しみじみ思った。
なぜ人はヤクザ映画に魅了されるのか?
なぜ人はヤクザ映画に魅了されるのか。ヤクザの世界は、非合法な裏社会であるが、無軌道なところもある反面、義理や人情に厚く、組織内では上に絶対逆らえない完全な縦社会を確立している。傍若無人ではあるが実は規律正しいところもある、そこががかっこいい、男らしい、情が深いというプラスイメージにもなっているような気がする。だからといって、自分がヤクザになるわけでもないので、人はヤクザ映画に感情移入し、日頃の鬱憤を晴らし、溜飲を下げるのである。
東映ヤクザ映画の歴史は古く、鶴田浩二、高倉健の時代を経て、深作欣二監督の仁義なきシリーズが大ヒットした後、本格的な作品はずっとご無沙汰であった。かつてのスターたちはほとんど鬼籍に入った。この映画は久々の大作である。登場するのは役所広司、松坂桃李、江口洋介、竹野内豊・・・。彼らが東映ヤクザ映画の新たな時代を切り開くのか。暴力団同士の抗争に介入する警察というオーソドックスな設定はわかりやすく、アウトレイジのような派手な銃撃戦はないだけに、ストーリー性を重視して製作しているように思われた。印象に残るのは養豚場のシーン。リンチされたうえで、山や川に捨てられる。これがヤクザ社会の怖いところであるが、目に焼き付いて離れない。若手刑事(松坂桃李)がベテラン刑事(役所広司)の仇を討つため殺害に加わった養豚場の息子をこれでもかこれでもかと殴り続ける。松坂桃李の迫真の演技であるが、これも養豚場で行われた。
世の中は清濁併せ呑むような懐が深いところでなくてはならないと思う。またいつの時代もそうだったにちがいない。なぜなら、そうでなければ、ヤクザ映画がこんなに長い間、人気を博すわけがないからだ。
和製アンタッチャブル
自論だが警察主役の懲悪系ギャング映画は面白い、本作もこの法則が通ずるようで見事アタリ。
警察の立場から見る極道間の対立構造がわかりやすく、目的も抗争を回避し民間人を守る為と明快、ハードなゴアやグロは基本勘弁だがひりついた空気に緊迫したヤクザとの交渉を魅せる本作ではそれを強調するスパイスになっており、ドンパチはないが見飽きない。重ねるがかなりエグイ、OP早々苛烈な拷問パートがあるのは早めに視聴判断出来るようにした配慮だろうか。
出演者に触れるが役所広司えんじる刑事大上が実に良いキャラしてた、ビジュアル良しなイケおじがヤクザの暴走を薄氷を踏む決断と鬼気迫る脅しで抑え、堅気に害あれば犯罪もいとわず追い詰め捕え、さらに松坂桃李えんじる日岡の目的はお見通し、逆手にとって精神ケア万全の師匠的采配を振るい、成長を促す有能さは作中一頼りになる。そして弟子にあたる日岡も成長プロセスが丁寧なのもあり、終盤の覚醒と覚悟を決める演技には惹きこまれる---ジッポ欲しくなる!
以上、血生臭いが対立問題を解決し爽やかに終わる、慎重に選んだが楽しい邦画で満足。
全391件中、1~20件目を表示