劇場公開日 2017年11月23日

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「現実的な夢物語」火花 ジョーカーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5現実的な夢物語

2017年11月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

芸人、又吉直樹原作の芥川賞作品『火花』の実写化。Netflix版のドラマもあったみたいだが、未見。

主人公徳永は、スパークスというお笑いコンビで営業などの仕事をし食いつなぐ日々。ある営業先でチンピラに絡まれ、ライブを台無しにされる。その後のライブの出演者であるあほんだらというコンビがチンピラたちへ繰り広げる漫才に衝撃をうける。徳永があほんだらの神谷に弟子入りを申し入れるところかストーリーがはじまる。
桐谷健太が演じる神谷がかなりカリスマ性のある役どころであり、その演技にはたしかにタダものでない感が漂う。
徳永と神谷のアツい師弟物語を期待してはいけない。この作品は夢を追う者と現実を見るものが対比的に描かれ、観客に現実を容赦なく叩きつけてくる。夢を追い続けたらどうなるかを見せてくる。しかし、後半は逆に夢を追うことを肯定しており、自分の観点がずれてしまい、伝えたいことを読み取れなかったのは残念。

漫才を通して展開される人間関係はとても美しく、居酒屋などのごちゃごちゃしたシーンだとより綺麗に見れる。ラストでうまくまとめているところもかなりよい。
そして、木村文乃は素晴らしい。めちゃくちゃいい。最高。

この作品に容赦なさを求めてしまい、このような評価になってしまったが、全体的に見やすい映画になっているのではないか。

こうき