劇場公開日 2017年5月19日

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「ベタな悲喜劇がピュアな韓国映画。」あの日、兄貴が灯した光 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ベタな悲喜劇がピュアな韓国映画。

2017年6月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

まず、本作を最後にCJエンタテイメントジャパンが配給業務を終える。韓国最大手の映画会社CJエンタテイメントの日本法人として、数々の名作やヒット作を日本に紹介した功績は大きい。個人的には、「怪しい彼女」(2014)が印象深く、その後、多部未華子主演で2016年にリメイクされた。ありがとうございました。

さて、韓国のアイドルグループ"EXO"のメインボーカル、D.O.(ディオ)が主演というのも手伝っているが、本作は初日から連日満席である。公開が1カ月間と決まっていたので、延長がないのは惜しい気がする。

ストーリーは、泣かせ系の王道である。兄弟役で共演するチョ・ジョンソクのコミカルで安定した演技が、全体のバランスを支えている。

主人公のコ・ドゥヨンは、試合中の事故で失明した柔道スター選手。そこに詐欺罪前科10犯で異母兄弟の兄コ・ドゥシクが仮出所して15年ぶりに実家に帰ってくる。弟が失明したことなど知らない兄は非情な態度を取る。しかし保護観察処分中の兄は、実家を離れることはできず、暮らしを共にする。やがて兄弟は徐々に心を通わせていき、その絆を取り戻していく。

そして失意の弟を、再びパラリンピックに向かわせる兄だったが、そこに今度は兄に思いもかけない悲劇が起きる。思いっきりメリハリのある"泣き映画"だったりする。

韓国映画は、大げさなくらいベタな展開が多く、恋愛映画などはともすると恥ずかしくなるのだが、あえて定型の悲喜劇は、日本映画が失ってしまったピュアな部分でもある。暴力表現や政治メッセージも極端で、とても見応えがあったりする。

特にTOHOシネマズ新宿は、場所柄なのか(大久保に近い歌舞伎町)、上映スクリーンに"韓国枠"が用意されていて、その独自編成がいい。今後は、通常の外国映画同様、日本の配給会社経由でCJ E&M作品は観ることができるというが、小粒な良品は難しいかも。がんばってTOHOシネマズ新宿!

(2017/6/11/TOHOシネマズ新宿/シネスコ/本田恵子)

Naguy