劇場公開日 2017年7月8日

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「イギリス人俳優がドイツ人夫婦を演じる意味とは。」ヒトラーへの285枚の葉書 MPさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5イギリス人俳優がドイツ人夫婦を演じる意味とは。

2017年7月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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第二次大戦下のベルリンに住むドイツ人夫婦が、戦死した息子の霊を弔うために、同じく最愛の家族を戦争で失った同胞たちのために、アンチヒトラーのメッセージを認めた葉書を町のあちこちにばらまいていく。数多あるゲリラ活動の中でも、これほどシンプル且つ効果的な反政府運動があっただろうかと思う。映画で見て初めて、このような事実があったことに納得する。今なお戦争の時代を生きる多くの親たちにとって、それは人種、地域を越えて心に響く行為に違いないのだ。そして、同じ目的を共有することで深まる夫婦の絆が、もう一つのメッセージとして多くの観客の心を捉えるだろう。共にイギリス人のブレンダン・グリーソンとエマ・トンプソンがあえてドイツ人夫婦を演じることの意味も、そこにあるような気がする。

清藤秀人