劇場公開日 2017年7月28日

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「4字に略せるタイトルは潮流です」君の膵臓をたべたい(2017) 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.04字に略せるタイトルは潮流です

2020年9月19日
PCから投稿

さくらははるきが、ひとりで生きていることを、称賛している。

さくらは、周りに友達や家族がいて、わいわいやらなければ生きられない。
だから、はるきのような生き方がすごい。と見ている。

が、現実的には、はるきの生き方は、最も楽な生き方だと思う。
それがティーンでも、壮年でも、はるきのような生き方が、いちばん楽だ。

むしろはるきは、現代人のモデルと言っていい。こんにちの社会では、多くの人間が人とかかわりをもたず、はるきのように生きている。

現実では、その単なる個人主義を、独立独歩とか孤高とか──のような好意的解釈は、しない。

それがこの物語の仕掛けであると思う。悪く言えばカラクリである。

なぜなら、うだつのあがらない暗い男が、たいした必然性もなく、ある日を境に、とつじょ美少女に絡まれることが、かれの個人主義に因由しているからだ。

それは男子にとって、この上ない僥倖である──にもかかわらず、好ましい悲劇におさめるために、かれは、その僥倖に、ぜったいに浮かれない冷静を持ち続けなくてはならないのである。

そのようにツンがぜったいにデレにならない男子が、若年層男女の需要を満たすのであれば、このキャラクタライズはカラクリである。

男子と女子、双方の理想に基づいたカラクリ──なのである。

もともと死ぬ映画なので、お涙頂戴になってしまう線形を、いかに非線形に料理するかに、焦点があったと思う。

それをかんがみると、この物語は、すこしも悪くない。変節はないにせよ、ティーン需要を過不足なく満たしている。と思う。

でも個人的には、まだ甘すぎた。
がんらいわたしはこの映画がターゲットしている層ではない──こともあるが、甘酸っぱい、とまでいかず酸味を欠いた。
が、それは、ややヒネくれた、涙腺刺激系にたいする嫌バイアスを持っている個人的感慨であって、世間の高評価はわかる。

ただ、この映画は海外でもI WANT TO EAT YOUR PANCREASとして、実写もアニメも、相当高く評価されている。rottenもimdbも予想をはるかに上回っていた。とりわけアニメ版の評価は高すぎるほどに感じた。
批評家のレビューでも、お涙頂戴=センチメンタルポルノの語さえ殆ど見なかった。

その理由は、外国人の日本モノにたいする+αもある、とは思うが、きみすいには、ひとつ、ぜったいの普遍がある。

それは、これから死ぬという人間が、交わりたい人として、その死を「あ、そう」と、捉えてくれる人を、誰よりも必要としている──という普遍である。

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津次郎