劇場公開日 2017年9月16日

  • 予告編を見る

「容赦のない分相応ムービー」奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール オレさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5容赦のない分相応ムービー

2017年11月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

楽しい

着飾らないカッコいい大人、奥田民生に憧れを持つ雑誌編集者のコーロキが雑誌モデルの美女、あかりに振り回されながらも奮闘する様を描いた天才大根仁監督によるラブコメディ。

大傑作モテキから6年。
完全にモテキテイストな原作を引っさげ、主役にヘタレを演じさせれば右に出るものはいない俳優、妻夫木聡を起用し、ヒロインには奇抜なファッションセンスと抜群のプロポーションを活かした女優、水原希子を迎え、リリーフランキーに松尾スズキに新井浩文といったエンタメ感満載の俳優陣を揃えた個人的2017年度の邦画期待値No. 1作品。

オサレな雰囲気漂うライフスタイル雑誌編集部に異動になったコーロキはワインや食器を語り合ったり、The InternetやD'Angeloなど1〜2年前のフジとサマソニ行ってたっしょ的な音楽を好むオサレ社員による歓迎会の中で自分の好きなものは何?と聞かれた際に奥田民生が好きですと照れながら答えるところから物語は始まる。
このお前はどんなもん好きなのかオレらに教えてみ?的なスタンスを無意識に出してくる高濃度オサレ狂いの集まりにたとえハニカミながらでも自分の好きなものをハッキリというコーロキに自分は感心した笑。
そしてその後爆音で「愛のために」をかける編集長に惚れた笑。こんな上司が欲しい笑。

そうこうして出会ったあかりに一目惚れし、鼻の下を伸ばしまくりながらもDVに悩むあかりを心の底から救いたいと願い晴れて結ばれる2人。
しかしクセの強いライター、締め切りを守らないコラムニストなどに翻弄され、編集者歴10年超の中堅ながらも付き合いたてのあかりからは呆れられる怒られるの板挟み状態。
それでもなんとしてもあかりにとって良い男でありたいと長すぎるLINEを送ったり、返ってこないLINEにイライラし鬼電かけたりと火にガソリンをかける姿に笑いと憐れみの念が止まらない笑。

そしてその様を影でニヤニヤと眺めている最狂の男が後半全てを持って行く笑。
原作読んだ後にこんな役を天才松尾スズキがやると聞いてメチャクチャ楽しみにしていた笑。
少し抑えた演技だったが内に秘めた狂気とあかりに耳を舐められてボッキするシーンもしっかりあって満足だった笑。
「オレの理想の女だ、、!」のセリフが似合いすぎる笑。

そして最後にトチ狂い合った男どもを全て蹴散らす最強の女としてあかりが降臨する。
今回原作に比べあかりの最強の女感が増している気がする笑。
それぞれの男が好きな女性像に瞬間的になりきり、ありとあらゆる男を掌で転がす笑。
それを彼女は無意識に罪悪感無しにやっているから怖い。自分の愛を複数人に与えることも複数人から愛されることも彼女にとっては当たり前のように見える。
それでいて女子会では最強に面白い笑。どこの女子会でジェームスブラウンのモノマネして受ける女子がいるんだ笑。
自分はこのシーンが1番グサッときた。
あれだけ男性の前では清楚で華麗な振る舞いを見せている女性がプライベートではBガールかつJBな姿を見せる。このギャップを目の当たりにしたらきっとコーロキは大分ショックを受けていたろう笑。オレのように笑。
このシーンはスクールカースト下位の方々にしか理解頂けないかもしれない(失礼)

最後に忘れてはいけないのが今作は天才大根仁監督の作品であることだ。
相変わらず曲をかけるタイミングと場面に合わせた曲選が最高にセンスが良い笑。
今回は奥田民生縛りであったため、バラエティ豊かとまでは行かないものの、奥田民生の名曲群を絶妙なシーンで流す笑。
冒頭から笑顔ニッカニカの編集長と共に「愛のために」、ラストの溺れながらもがくコーロキと共に「custom」など聞いたことのない曲まで良さげに聞こえる映像との組み合わせは抜群に良い。
さすがDJやら深夜番長やらと称されるエンタメの天才。
また原作になかったキスシーンを自然にねじ込んでくるとこにこだわりを感じた笑。
自称日本で最もキスシーンをエロく撮りたい監督、大根仁は健在だった笑。

こんだけ長いこと書いてメチャクチャ良かったってわけではなかったけどモテキテイストな大根仁作品を観ることができてよかった。
次作でおもいっきり趣味を爆発させてきそうでもう既に楽しみ笑。

オレ