劇場公開日 2017年4月22日

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「究極のネタバレ。作者が構想した結末って…」3月のライオン 後編 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0究極のネタバレ。作者が構想した結末って…

2021年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作の愛読者として、どうしても見届けねばならないことがあった。
それは、この映画の結末。

原作者の羽海野チカは「映画が描いたその先に行けるように描き続ければいいんだ」だから「マンガで予定していた結末を、大友監督に渡しました」とコメントしている。

つまり、映画と違う結末を、マンガでは目指す。という決意で、映画製作にエールを送っている。

これ以上ない製作陣、キャスティングで完成された後編は、なるほどよく作ってある。前編とのつながりを考えるなら、当然こう締めくくられるべきだろう。私はそれを見たくて、前編から映画館に足を運んだと言ってもいい。それでも、映画として考えたら、「3月のライオン」特に後編。。。残念な出来と言わざるを得ない。

いじめのお話から始まって、日向の芯の強さに惹かれる零を描き、劇中で全く触れていなかった父親の、突然の出現。もちろん原作に忠実に出来ているが、映画なのだから、伏線は張っておくべきだろう。前編で。いじめにしろ、別居中の父親にしろ。

しかも、代理戦争を仕掛けた零に、やんわりと退場を促すという、あまりにも愛情のない原作改変!「あー、なるほど。こっから映画オリジナルかぁ…」と感じたのですが、後藤の妻が病死するあたりから、ぐりぐりとストーリーが展開していきます。

仮に、この映画と同じ結末をマンガで描いていたとしても、当然、受け入れられたはずですが、受ける印象はずいぶんと違ったものになっていたでしょう。それは、原作者である羽海野チカが一番感じているはず。少なくとも、映画の出来が良すぎて、マンガの続きが描けない。ということにはならなかったので、ひと安心です。

さて、肝心の映画のレビューですが、後編だけ見ても、連続ドラマの途中から入った感じで、特に姉の香子役の有村架純との関係性は前編で濃密に描いてあるので、残念ながら前編も見たほうがいいでしょう。
漫画原作として、原作の世界観を上手に映像化出来ているとは思いません。
・ネコがネコ語をしゃべる
・おいしそうな料理を食べ過ぎてもだえる
・そのほか、とにかくギャグ描写が一切ない
・有村架純(香子)の出番が多すぎて原作無視
・対局のシーン、解説が入らないのは不親切すぎる
・興行的にもペイできたのかどうか、とにかく登場人物多すぎ

マンガが大きくステップアップするきっかけとしては、「映画化」良かったと思いますが、映画そのものは普通でした。

2017.5.2

うそつきカモメ