劇場公開日 2016年12月24日

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「ちょいエロな和製「スタンド・バイ・ミー」を聖夜に是非ご覧あれ!」14の夜 MPさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ちょいエロな和製「スタンド・バイ・ミー」を聖夜に是非ご覧あれ!

2016年12月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

ダメ教師を絵に描いたような父親、愚痴ってばかりの母親、ダメ息子を擁護することしか知らない祖母。そんな安らぎも感動もない家で鬱屈した日々を送っている14歳のタカシが、同じく、パッとしない仲間たちと何となく連んでいる図が、まずいい。学校でも成績はイマイチ、スポーツは苦手、オマケに熱中する対象もない14歳たちの、恐らく日本に住む同世代の最大公約数的な有り様が、端からしみじみと胸に染みるのだ。その後、映画は彼らが町のレンタルビデオ店で開かれるAV女優、よくしまる今日子(←ナイスなネーミング)のサイン会へと向かう、文字通り危険で切ない「14の夜」へと怒濤のハンドルを切るのだが、それとて、タカシのダメな日常をチェンジする起爆剤にはならない。大人になった時、振り返って懐かしむこともないだろう。それでも、否、だからこそ、掬い取る価値があるひと夏の出来事を、オーディションで選んだ新人くんたちと一緒にカメラに収めたこれが監督デビュー作になる足立紳の、フラットな視線と鋭いユーモアのセンスを称えたい。涙はない代わりに、いつまでもクスクスと笑っていられるちょいエロな和製「スタンド・バイ・ミー」を、何も予定がない聖夜に是非ご覧あれ。

清藤秀人