劇場公開日 2017年3月25日

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「オタクが本気で自分の観たいキングコング映画を撮ったらこうなった」キングコング 髑髏島の巨神 めいさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5オタクが本気で自分の観たいキングコング映画を撮ったらこうなった

2017年4月2日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

怖い

興奮

CG制作や特撮効果のコストをケチったせいで、影をちらつかせるばかりでなかなか怪獣が出てこない怪獣映画が、私は嫌いである。気が短いのだ。
(もちろん予算という限られた制約があるのは承知の上で、それでも嫌いなのだ)
だがこの映画は違う。本気で怪獣映画を愛する人達が作っているせいだろう。一切出し惜しみせず、冒頭から主役のキングコングが現れ、物語序盤から暴れまくり、ガンガン破壊しまくってくれる。なので否応なしに、観客は物語序盤からヒートアップさせられる。そして間をあけずに次々と予測不可能なクリーチャーが現れて、容赦なく人間を襲いまくるので、興奮から覚めることなく次の興奮がやって来て、飽きさせることなくクライマックスまで突き進む。

実はあまり期待をせずに観に行ったのだが、字幕版を観て、期待値が低かったぶん余計に良い意味で裏切られた。

怪獣やミリタリー要素が好きな人は、序盤から最後まで「ヒャッハー!」とハイテンションで観られるし、そうでない人も、次々と襲ってくるクリーチャーにビクビクするスリルを楽しみながら緊張感を持って観られる。

とにかく「オタクが本気で自分達の観たいキングコングを撮ったらこうなりました!」感が、ビシバシ伝わるのが好印象。
やりたい放題感というのだろうか。それが徹頭徹尾一貫して伝わってきて、尚且つワクワクさせてくれるのだ。
そして、それはあくまでもオタクだけに向けた作品ではなく、怪獣映画初心者にも明快なエンターテイメントとして楽しめるのが、この映画のスゴい所だ。
オタクが撮った怪獣映画といえば昨年のシン・ゴジラを思い出すが、シン・ゴジラがあくまでもコア層からの支持を受けたのに対し、キングコングは怪獣映画オタクやミリオタ等のオタクを熱くさせるのみならず、怪獣映画初心者も楽しめる懐の深い作りになっている。その意味ではシン・ゴジラよりもパシフィック・リムに近いかもしれない。

ところで、怪獣だけではなく、ミリタリー要素もてんこ盛りで、ミリオタも多分楽しめる。何しろベトナム戦争直後の孤島のジャングルという設定からして、好きな人には堪らないだろう。
(分からない人には大変恐縮だが、私は最後に生き残ったキャラクター面々を見ながら「これが冷戦時代のジャングルを舞台にしたメタルギアソリッドⅢなら10回は既に死んでるぞ」等ツッコミながら楽しく観ることができた)

とにかくオタクの人も、そうでない人も、興奮したいなら是非とも観に行って欲しい。そう自信を持って多くの人に久しぶりにお薦めできる楽しい映画だった。

◼余談
吹き替え版を観ていない私が言うのも大変恐縮なのだが…キングコング、内容は最高でオタク受けもする作品なのだから、吹き替え版も話題性を求めずに堅実に演技派俳優や声優を使ってほしかった。そこはほんと、パシフィック・リムを見習って!!!と声高に言いたい。
むしろ人気実力のある声優を吹き替え版にキッチリ起用した方が、声優ファンの間でも話題になるし、何度も劇場に足を運ぶようなオタク層をもっと取り込めた筈では。興行的にも、その方が成功した気がするので、残念に思う。

めい