劇場公開日 2016年12月23日

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「【現代の対テロ戦におけるドローン攻撃の、”究極のトロリー問題”を緊迫感溢れるスパイ衛星からの映像で描き出した作品。観る側に現代の戦争における、重いテーマを投げつけてくる作品でもある。】」アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【現代の対テロ戦におけるドローン攻撃の、”究極のトロリー問題”を緊迫感溢れるスパイ衛星からの映像で描き出した作品。観る側に現代の戦争における、重いテーマを投げつけてくる作品でもある。】

2021年10月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

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知的

ー 「ゼロ・ダーク・サーティ」でも、「アメリカン・スナイパー」でも、テロ集団への攻撃は、鍛えられたネイビー・シールズが行っていた。犠牲を払いつつも・・。
 だが、今作で、テロ集団”アル・シャバブ”(英国人、米国人も在籍)を攻撃しようとするのは、遠隔地にいる、パウエル大佐(ヘレン・ミレン)達英国軍である。ー

◆感想
 ・これが、現代の戦争なのだろう。”世界一安全な戦場”。皮肉なタイトルである。

 ・テロ集団”アル・シャバブ”のアジトに飛んだ、昆虫型ドローンが映し出したモノ。
 それは、大量の自爆テロ用の爆弾であった。
 それを確認し、ロケット弾、”ヘル・ファイヤー”による攻撃を英国及び米国政府外相、首相に求めるパウエル大佐や、フランク・ベンソン中将(アラン・リックマン:合掌・・。)の姿。
 ー ここで、英国の外相が判断を避けるシーンが、現実的である。気持ちは良く分かる・・。ー

 ・アジトの傍で、パンを売り始めてしまった少女アリア。焦る、パウエル大佐達。
 ー 頻繁に使われる、”付随的被害”と言う言葉。何処に、ロケット弾を落としても、65%の被害であるという分析・・。ー

 ・ロケット弾攻撃の後、地面に臥せるアリアの姿を見て、眼に涙を浮かべる、任務遂行した軍人たち。
 ー あれは、キツイだろう・・。ー

<英国政府の女性高官が”恥ずべき作戦だった”という言葉に対し、フランク・ベンソン中将が言った言葉の重み。
 現代の戦争での、被害者は”何の罪もない無辜なる一般市民”の比率が増えていくのであろう。
 スリリングで、面白い作品であるが、この作品が現代社会に問いかけるテーマは重い。>

NOBU