劇場公開日 2016年8月26日

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「追悼の儀式としての「君の名は。」」君の名は。 Lynkeusさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0追悼の儀式としての「君の名は。」

2017年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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Lynkeus
naga1548さんのコメント
2018年7月1日

現実にはあり得ない奇跡で大災害が無かったことになるなど、現実に亡くなった人に対する侮辱としか思えません。
現実の震災とは一切無関係なたわいもないファンタジーだとしておけばまだ罪はなかったのに。

naga1548
Lynkeusさんのコメント
2017年5月19日

「追悼の儀式」と題するコメントで一ヶ所、訂正です:
トビと書くべきところをモズと書いておりました。
書き間違いをしたのは、この映画を見て1960年代の流行歌「もずが枯木で」を連想してしまったからです。・・・今までと全く変わらない日常生活が流れているのに、何かが足りない。そこには、誰かが「いない」のだ・・・という内容の、反戦歌です。

映画「君の名は。」の、「朝、目が覚めるとなぜか泣いている」というナレーションは、実に美しいです。自分の人生から欠落した「誰か」のために泣くこと、思い出そうと努力すること、会ったこともない他人に「大事な人、忘れちゃだめな人、忘れたくなかった人!」と呼びかけることの大切さを映画「君の名は。」が教えていることを、改めて評価したいと思います。

Lynkeus
Lynkeusさんのコメント
2017年5月3日

「追悼の儀式」と題するコメントを書いた者ですが、4月30日の反論(?)も、納得しつつ拝読しました。
「君の名は。」については、「東京から見た『地方』が東京に都合よく描かれているだけ」等々の批判的な論評を、しばしば見かけます。
映画の中にも、東京の人たちと地方(被災者)との意識のズレが描かれています。災害の原因の彗星についてアナウンサーは「これほど壮麗な天体現象を目撃できることは私たちの幸福」と語り、主人公の瀧君も「ただひたすらに美しい眺めだった」と語ります。そして彼は、被災地の地名すら忘れています。
確かに、もしも「君の名は。」を「高みの見物の東京人が田舎の女の子(被災者)を助ける」的な話と考えれば不愉快だし、災害が(4月30日のコメント筆者さんの言葉を借りれば)「ラブストーリーの小道具」ならば、腹立たしく、不道徳です。
しかし私は、この映画の作り手が「瀧君」に「美しい眺めだった」という台詞を(わざわざ)繰り返し語らせたことには、大きな意味があると思います。
多くの人が、自分が理解もできず寄り添うこともできなかった他者に対する後悔や罪意識を感じています。この映画が多くの人の心を打つのは、そのような「他者への想い」や罪の意識を、「瀧君」が代行して(なぞって生きて)くれているからではないでしょうか。
「瀧君」は、今村復興相の「(震災が)東北で良かった」発言と同様、災害が「岐阜で良かった」と思いかねない東京人だったかもしれません。しかし彼は、その自分を根底から覆され、新たに生き始めます。
観客の多くがこのことを感じるからこそ、この映画が、感動を呼ぶのだと思います。

・・・映画は、作品であるだけではなく見る人の心を映す鏡でもあります。観客は、常にその時々の自分の問題、そして時代の問題を映画の中に移し込んで、解決を模索しつつ鑑賞しています。「君の名は。」の大ヒットを「幼稚な内容なのに」と不思議がる人は多いですが、実は、この映画は(童話的な部分を残しているからこそ)観客が、その「ゆるい」部分に自分を移し込んで「映画を一緒に作る」ことを可能にしており、私は、まさにこの「共作」が起こりやすい点こそが映画「君の名は。」の優れた点だと思っております。

Lynkeus
Kazu Annさんのコメント
2017年4月28日

素敵なレビュー、ありがとうございます。じんと来ました。そうなんですよね。3.11へのメッセージ映画何ですよね、君の名は。

Kazu Ann
Kazu Annさんのコメント
2017年4月28日

素敵なレビュー、ありがとうございます。じんと来ました。そうなんですよね。3.11へのメッセージ映画なんですよね、君の名は。

Kazu Ann
Lynkeusさんのコメント
2017年2月28日

コメント、ありがとうございます。
実は、「リピーターが異常に多い」という私の発言に「突っ込み」が入るかな… と予想しておりました。
リピーターが多いことは、「ある仕事を30年やっていたので何となくわかってしまった」だけで、公に発表されているデータを参照しての発信ではありません。

ちなみに私は、かねてから「リピーター」に興味を持っており、「君の名は。」には、リピーターの観察のため、既に15回出向きました。トイレやロビー、エレベーターでの会話もヒントになりますし、また、映画館の外でも、人の集まる場所では度々聞き込みも行なっておりますが、「見た」と答えた人に回数を訊くと3~5回が多いです。
「一回見てから原作を読み、もう一度見たくなった。そして(一回目よりも理解できたために)大感激して更に数回見た」という話も、よく聞きました。(余談ですが、原作本を持っていた小学校4年生に聞き込みしたところ、親に何度も連れて行ってもらうのは無理なので「お年玉」で原作本を買って3回読んだ、とのことでした。)

なお、客席を観察すれば、「こっそりスマホで画面を撮影している人のシャッターチャンスが良すぎる」「予想外の展開の少し前から身体が固まる」「これから事件が起こる方角に顔が先に向いてしまう」「グッズ売り場で、先週から置いてあった物には手を出さず直ぐに新着だけを選ぶ」ような人が多いことからも、リピーターが多いことが推測できます。
また、上映前後の客席の様子も明らかに違います。昨年9~10月には、上映前の客席に張りつめた空気が漂い、終了後は「良かったわね~」「泣いちゃった!」等々、明るい雰囲気だったのですが、今年に入ると逆に上映前の緊張感が全くなくなり、ところが、上映が始まったとたんに客席が緊張で固まり、特に後半、要所要所での客席の「蒼ざめ」感がハンパでなく、そして終了後は、何も話さずにコソコソと散ってゆく人が多いのです。
・・・以上のような調査と観察から、今回のレビューを書いた次第です。

Lynkeus