劇場公開日 2016年10月29日

「危険性を訴える事は貶す事だけじゃない」コンカッション 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5危険性を訴える事は貶す事だけじゃない

2018年4月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

知的

CTE=慢性外傷性脳病。
脳への激しい衝撃が原因である脳の病気。
アメフトに於けるその危険性を発表した医師の実話に基づく物語。

アメフトの元スター選手が変死した。
解剖を担当したオマル医師はその死に不審を抱き、試合中の脳への激しい衝撃が原因である事を発見する。

アメフトは全く見た事ないが、映画などでちらっと見る限りでも、選手同士が激しくぶつかり合う。
それがアメフトの醍醐味だろうが、その際の身体への衝撃は相当なもの。
特に、脳。
脳は頭蓋骨に覆われている以外、クッションとなるものが何も無い。
劇中でも説明されていたが、ビンの中の水に揺られた物の如く、頭蓋骨の中で脳が激しく揺られ、ぶつけられる。
そう考えると恐ろしい。
白熱のスポーツに潜む危険性。
別にアメフトだけじゃなく、その他のスポーツ、事故や日常生活にだって潜む。

オマルが論文を発表するや否や、NFLから大ブーイングが。
言ってみりゃ、アメフト界に喧嘩を売ったようなもの。しかも、アメフトはアメリカの国民的人気スポーツだ。
圧力や時に身に危険が及ぶ。
いや、実際に及んだ。

これは誤解だ。
何もオマルの発表はアメフトを陥れようとしてる訳じゃない。
アメリカの偉大なスポーツに敬意を払い、選手たちの為に危険性を呼びかけているだけなのだ。

ウィル・スミスが非常に抑えた真摯な好演。
いつもと違う喋り方とか仕草とか、相当役作りに凝ったであろう事が窺える。

作品自体は淡々と地味。
しかし、なかなか興味深く見れた。

近大