劇場公開日 2016年10月22日

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「内容的にはコント映画になってしまったけど、テーマ的にはいいところをついているなと思った。」金メダル男 Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5内容的にはコント映画になってしまったけど、テーマ的にはいいところをついているなと思った。

2018年3月21日
PCから投稿

コントかな?”金メダル男”というキャラが、いろんなコントやっていく話。

ずっと同じ設定ではつまらないから、いろいろ設定を変えてやっている。

コント番組の”金メダル男”というコーナーを一年くらいやって、それを全部つなげたような感じ。

漫才でいえば、”金メダル男”というキャラで、二時間ボケを入れまくったというところ。

金メダルを目指していろんなことに挑戦するのだけれど、結局挫折して終わりみたいなオチ。

でもツッコミがないので笑えないし、映画としてもどうかな?という感じだった。

なぜかけっこう有名な人がたくさん出演していて、特に土屋太鳳さんなどキスシーンまであった。

「やめろ小川!コントでキスするな!」と映画・ドラマの『鈴木先生』風に言いたくなった。

今はあまり見かけなくなったけど、昔はよくテレビドラマやアニメで、なんでも一番を目指すキャラがよくいた。

なぜかと考えてみると、その頃は大多数の人が上を目指して頑張っていて、環境もよく結果もついてきたからだと思う。

だんだん頑張っても結果がついてこない時代になり、この映画の主人公秋田のようなキャラはいなくなって笑話になった。

この映画も高度成長期の後から現在までの話だから、その辺のパロディーも入っているのかもしれない。

でも直近の現在では、笑話として笑ってられないようになってきたような気がする。

蓮舫は「二番ではダメなんですか?」と言ったけど、二番ではダメだと思う。

昔は、よく言われるトリクルダウン的なことが起こって、二番でも、三番でも、その下の方でも潤ったけれど、現在はトリクルダウン的なことは起こらず、一番総取りの時代。

オリンピックの柔道でよく言っている人がいたけれど、金メダルでなければ後は同じで、等しく価値がない。

格差が固定化しつつあるから、頑張っても報われない可能性が高いし、技術革新その他、変化が激しく、AIなんかもあるから、職人的にその道何十年と頑張っても水泡に帰してしまう可能性も高い。(なんたって、将棋のプロがスマホ見て将棋指す時代ですから・・・?)

こうなってくると、この映画の主人公の秋田みたいに行き当たりばったりで、とにかく一番目指して挑戦し、一番になれそうもなければすぐ諦めて次のことに挑戦という、数打ちゃ当たる式でいいのかもしれない。

内容的にはコント映画になってしまったけど、テーマ的にはいいところをついているなと思った。

Push6700