「地味ながらロビンからの最後のメッセージに胸が熱くなりました」シークレット・ロード スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0地味ながらロビンからの最後のメッセージに胸が熱くなりました

2016年8月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

難しい

確か「余命90分の男」もロビン・ウィリアムズ最後の主演作なる謳い文句だった気もしましたが、この映画も同じなんですよね・・・。
実際どちらなのかは分かりかねますが、あちらは少々残念な出来だったので、こちらが最後と思うことにしましょう(笑)
まあロビンらしい映画と言えるかはかなり暗めな内容なのでちょっと微妙でしたけど、地味ながら作品そのものの出来としては、何かと考えさせられつつも優しい気持ちにさせられる良作映画だったと思いましたよ。

人は多かれ少なかれ、自分を偽って生きています、そんな自分にどこかモヤモヤした気持ちがありながらも、自分の置かれた立場や状況から、今更本当の自分を全てさらけ出す事なんて出来なくなってしまってるんですよね。
ロビンが演じた初老の主人公ノーランもそう、完璧な妻がいて、仕事も銀行の重役と、何不自由のない生活をしていて、傍から見たら完璧な人生に見える、しかし本人はどこか寂しそうと言うかモヤモヤしたものを抱えながら生きてるように見えて、思わず感情移入させられてしまいました。
また亡くなる直前だったからか、寂しげな表情が物凄くリアルだったので余計に・・・。

本当は同性愛者なのに、偽りの夫婦生活をしている様子も、妙に緊張感があって何気に見応えありました。
お互い何となく気付いてはいるけど、幸せ夫婦を装っている、そんな様子がロビンとキャシー・ベイカーの名演によってどこかリアルに感じられて、心に突き刺さると言うか何と言うか・・・。
まあ同性愛ではないにしても、何となくこの夫婦の感情が手に取るように分かると思われた方も多いであろう夫婦の描写だったのではないでしょうか。
それにしても終盤2人の本音が炸裂したシーンは、物凄く生々しかったなぁ。

男娼レオとの交流も、見ていて胸が痛くなりました。
優しく包み込む愛情を注ぐノーランに、戸惑うレオ、レオはレオなりに必死に生きてきたことが伝わってくるからこそ、なかなか交わることのない2人の思いに胸が苦しくなりました。
幸せの価値観は人それぞれ、何となく結末の想像は付いていましたが(そうじゃなきゃ映画化した意味がないし)、ロビンのあの表情が幸せとは何なのかを体現していて、とても印象に残るラストシーンでしたね。
ロビンよ、安らかに・・・。

スペランカー