劇場公開日 2015年8月28日

「【”穏やかな人生を歩むことは、車の運転に少し似ている・・。”猛スピードや周りを見ない運転はイケマセン。周囲に優しい運転と人生を・・。】」しあわせへのまわり道 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”穏やかな人生を歩むことは、車の運転に少し似ている・・。”猛スピードや周りを見ない運転はイケマセン。周囲に優しい運転と人生を・・。】

2022年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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ー 夫テッドの浮気により21年間の結婚生活が破綻した売れっ子書評家・ウェンディ(パトリシア・クラークソン)。免許のない彼女は、今までは夫の運転する車に乗っていたが、仕方なく自動車免許を取ることに。
  彼女の先生になったのは、落とし物を届けてくれた親切なインド人タクシー運転手・ダルワーン(ベン・キングズレー)。
  宗教も文化も異なるシク教徒のダルワーンは、人生の含蓄に富んだ言葉でウェンディに優しくアドバイスしていく。ー

◆感想<Caution 内容に触れています。>

・ウェンディを演じるパトリシア・クラークソンと、ダルワーンを演じるベン・キングズレーの演技合戦と言っても良いくらい、二人の演技が良い。

・ダルワーンがウェンディに運転を教える際の言葉が、人生を過ごす際に必要な心構えに聞こえて来る。
ー ”周囲を見て・・。””慌てない・・、落ち着いて・・。””視野を広げて・・。”
  インドでは、少数故に迫害の歴史を持つターバンが印象的なシク教徒のダルワーンの言葉は示唆に富んでいる。
  徐々に、ウェンディは過去の自身の利己的な態度や言動、夫に対する態度を省み始めるのである。-

・だが、面白いのは、ウェンディの前では、聖人のようなダルワーンの、新妻ジャクリーンに対する最初の頃の、言葉遣いや態度である。
ー ”バターが多い””字が読めないのか・・”
  意を決したジャクリーンが町に買いものに出ると、意地悪な店員の態度を観た女性が彼女をサポートして、ジャクリーンにはいつの間にか知り合いが沢山出来る。
  そして、家に帰ってきたダルワーンに皆は”彼女を家に閉じこめているなんて!”と詰問するが、我に返ったダルワーンは言う。”夕食は自分で作るから、皆さんと過ごしなさい・・。”-

<2回目にして漸く免許を取得した彼女に、ダルワーンは”夕食でも・・”と誘うが、ウェンディは”貴方は私にとって誠実な人だから・・。”と誘いを断る。
 人生とは自動車の運転に近いのかなあ、と思った佳品である。>

NOBU