劇場公開日 2016年6月25日

「想いを告げずに死ねない」TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5想いを告げずに死ねない

2022年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

本作は、超異色な青春コミカル・ラブストーリーである。主人公は、好きな同級生・ひろ美に告白できずにいる軽音楽部員である男子高校生・大助(神木隆之介)。大助は、修学旅行中に交通事故死し、天国ではなく地獄に堕ちてしまう。大助は、ひろ美に想いを告げるため、地獄のロックバンド・ヘルズのリーダである赤鬼のキラーK(長瀬智也)などの仲間と協力し、奇想天外な作戦で地獄から現世への蘇りを試みる。

全編の大半を占める地獄のシーンは、クドカンワールド全開の独特な雰囲気であり、役者達の特殊メイクが奏功して、個性的な舞台を観ているようでもあり、ロックコンサートを観ているようでもある。一見、ぶっ飛んだ、荒唐無稽なストーリーに思えるが、輪廻転生、六道輪廻など、基本的な仏教思想をしっかり踏まえているし、ストーリーの中に巧く説明も入れているところが凄い。クドカンらしい。

地獄に比べ、現世のシーンは、コミカルではあるが、真面目な作りになっている。キラーKの現世での過去もシリアスに描いている。ひろ美とのやり取りも青春映画を観ているようである。年を重ねたひろ美を演じる宮沢りえは、憧れの女性というイメージ通りの清楚で凛とした美しさである。天国も登場するが・・・。地獄、天国、現世を比べると現世が抜群に心地良く感じられる。

ラブストーリーとして、ハッピーエンドのラストが清々しい。
結局、大助の落ち着き先は、天国、地獄、現世のどこになるのか?
誰もが納得できる所に落ち着くとだけ記しておこう。

みかずき