劇場公開日 2016年5月28日

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「【吉田恵輔監督の懐深さと、森田剛の演者としての、得体の知れない恐ろしさに戦慄した作品。邦画を牽引する吉田恵輔監督が、色々な意味で喝を入れた作品でもある。】」ヒメアノ~ル NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【吉田恵輔監督の懐深さと、森田剛の演者としての、得体の知れない恐ろしさに戦慄した作品。邦画を牽引する吉田恵輔監督が、色々な意味で喝を入れた作品でもある。】

2020年1月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

 ー ”アノール”はトカゲの一科の名称。
 ヒメノアール=ヒメトカゲは体長10㎝程の猛禽類とのエサにもなる小型爬虫類、を意味する。ー

 今作で、ヒメノアールとして描かれる人々。
 ・岡田准(濱田岳) 25歳のフリーター。役名は吉田監督の諧謔精神か?
 ・安藤勇次(ムロツヨシ) 岡田の同僚且つ先輩。冴えない男。
 ・阿部ユカ(佐津川愛美) 安藤が”天使ちゃん”と呼ぶカフェ店員。

 そして、”天使ちゃん”をじっと見つめる男・・
 ・森田正一(森田剛)

 森田は高校時代、苛めの対象だったが、ある日、同じ苛めの対象だった和草(駒木根隆介)と、苛めの主犯格を誘拐し、(ほぼ森田一人で)殺害。(このシーンでの森田の殺人を犯してからの行為が、今後の彼の歩む姿を明示している。)

 この辺りから、森田の性格が明らかに破綻している状況が描かれる。

 岡田はユカに突然、告白され結ばれる。それをじっと見ていた森田の無機質な眼。

 森田は和草に岡田の殺害を持ち掛けるが、過去の所業に耐えきれず、自首しようとする和草と恋人久美子(山田真歩)。
 が、久美子は森田殺害を提案し、鉄パイプで奇襲するが逆に森田に殺害される。(このシーンの森田が鉄パイプを何度も何度も二人に打ち据える姿に戦慄する。この作品R15+だったよな、大丈夫かと思った程の凄惨なシーンである・・)

 快楽殺人の味を覚えた森田の標的は、何ら関係のない人々にも向けられる・・。

 そして、森田はユカが身を隠している岡田のアパートを突き止め・・。

<数々の凄惨なシーンの後、ラスト、高校時代の森田と岡田がTVゲームをしながら森田が母親に明るいトーンでかける言葉と、彼の家の庭先に居る犬の姿に、吉田監督の”ある”想いを感じた作品>

<2016年7月3日 劇場にて鑑賞>

NOBU