劇場公開日 2015年10月1日

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アメリカン・ドリーマー 理想の代償のレビュー・感想・評価

全34件中、21~34件目を表示

5.0邦題のミスリード感ハンパない本作を全力で擁護させていただきます!

2015年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この邦題、永遠に忘れてください。
てか、どこから持って来たんだ!?
アメリカで夢を実現しようとする男の、サクセスストーリー的なこのタイトル。また色んなサイトで、批評家さん達があらすじ的なこと&レビューされてますが、違ってることが多いのでこれも忘れてください!

普遍的な「アメリカン・ドリーム」がテーマって????
ちがーーーう!
本作はそんなお話では全くありません!!
あまりにも違いすぎて、唖然としました。
本作のテーマはこれですよ。
ビジネスに大事なのは"プロセス"なのか"結果"なのか?
『シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人』では、結果重視ではいかん!お金儲けできりゃいいってもんじゃないっしょ!とアメリカ、世界経済に警鐘を鳴らしていました。
本作も、そんなテーマがちょっとあります。たぶん。

1981年アメリカ・NY
冒頭、深緑色のトラックが2人組の男に襲われ、運転手はぼっこぼこにされるシーンから始まります。どうやらこのトラックの会社では、同様の被害が相次いでいるようです。はっきりとした業種は語られませんが、トラックは石油輸送用っぽいです。
主人公アベル(オスカー・アイザック)は、たぶん石油元売り企業の社長で、たぶん業界では新参者のようです。おそらくこの地域の同業他社は、アベルの会社を良く思っていません。
このアベルは、ユダヤ人から土地を買おうとしています。たぶん、石油発掘場じゃないのかな?
あ、おそらく、たぶん、って連発してすみません。だって説明してくれないもの。

そして主役のオスカー・アイザック。
色々と出演されてますけど、やはり主演だった"インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌"の掴み所のない飄々としたキャラのイメージが強いです。
この人って、何を考えてるか分かんない顔つきだと思いません?
アベルの奥さんアナ役に、ジェシカ・チャスティン。
ジェシカは"ファミリー・ツリー""テイク・シェルター"の物静かで優しく自己主張せず、でも芯の強い奥さんのイメージが強いです。心の中で色んな葛藤があっても、それを口に出さない耐える奥さん。
本作では物静かではなく、ズバズバと自分の考えをいう奥さんを演じています。
夫を支える良妻ですが、今までジェシカが演じてきた役になかった強さが全面に出た女性です(胸元の露出がすごいです)。
ジェシカも、何考えてるか分からない顔つきなんですよね。
でも、この何を考えてるか分かんないもやっとした主役に、この"たぶん"連発の全く説明しないストーリー。でもね、なんだか分かんないけど怖いんです。不穏な空気だけは感じるんです。深い霧の中を歩くような、不安感と恐怖を感じるんです。

アベルはトラックが石油ごと奪われ、運転手は怪我をし、会社的にも損害を負っているのに、具体的な防御策を考えていません。具体的な防御とは、運転者に護身用の拳銃を持たせることです。
アベルは正しい方法で、会社を経営したいと思っています。拳銃を運転者に持たせることは、彼が思う"正しい金儲けの仕方ではない"のです。
しかし検察局はそんなアベルの会社を、しつこく捜査しています。アナの父親がギャングで、たぶんアベルの会社設立時には、何かしらの手助けをしていると考えてるからだと思います。語られませんので、分かりません。
事実、アナは帳簿を任されており、現在の日本の中小企業であれば、節税対策としてどこでもやってることを(やってない方がおかしいです)、たぶん過剰にしています。

金儲けが目的ではなく、"正しい方法で結果的にお金儲けができる"ことを実行しようとするアベルと、"結果の為には時に手段を選ばず"なアナ。この対照的な2人の考えは、どちらが正しいのか?会社のゴールは儲けること。利益が出なければ、会社は立ち行かない。そこは綺麗事ではないです。私は都市銀に居たので、業績不振の会社がどんな扱いを受けるか、目のあたりにして来ました。
じゃ、その為に何をやってもいいのか?法律に違反しなければいい?自分の会社だけ儲かればいい?
正しい道を行こうとするアベル。
アベルに正しい道を歩ませるために陰を生きるアナ。
それに気付かないアベル。
アベルの石油を奪う強盗。アベルの会社の運転者は弱いから。弱い者から奪う強者。
それを知っていながらその2人組から石油を買うアベルの競合他社。
競合他社にとっては新参者に地元を荒らされている。死活問題。どちら側に立つかで正義は変わる。
アベルが石油を奪われていることを知っていながら、手を打たない検察局。それどころか、ギャングとの癒着や、叩けば何か出るのがないかと執拗に張り付く検事。その検事にも、仄暗い野望がある。

石油の利権を巡る数々の戦争は、皆さんご存知の通りです。本作は石油業界や中小企業の経営者が必ずぶつかる壁を描きながら、同時に、現代の石油の利権を巡る争いのメタファーでもあると思います。あ、たぶん。
つまりそれは、アメリカ批判に繋がります。そしてアベルの姿に、日本を見たりします。
少なくとも、サクセス・ストーリーじゃありません。
そもそも主人公は、そこを目的としていません。
原題が" A Most Violent Year"です。1981年が、犯罪統計史上で最も犯罪が多かった年らしいです。過酷な時代に、正しく生きようとした男の話です。そんな男が出した結論に、大きく唸らずにはいられませんでした。

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さぽ太

4.0気づかなかったよ…

2015年11月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

コレが原題 "A most violent year" の作品だったとは、予告見た時点では楽しみだったのに、本編見るまで気づかなかった。だって変な邦題付けるから…
さて作品としては、80年代初頭の危険なNYCの雰囲気を良く再現しながら、ゴッドファーザー風の重厚なドラマを、良くいまどきやったなぁ〜というのが正直な感想。
それなりに面白いし雰囲気も良く出てるんだけど、主人公が何故そんなにこだわってるのか、その理由が語られないためにぼんやりとしてしまった印象。
主人公も嫁も背景が面白そうなんだから、もっと描けば良かったのに…とかってそれやると三部作になっちゃうか…

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ぱんちょ

4.0持つべきは。

2015年11月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

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ハチコ

4.0現実の不条理さが至る所に隠されている

2015年10月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

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kinop0124

4.0画がかっこいい。最初から音楽と映像のマッチングでこれぞこの頃のアメ...

2015年10月15日
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画がかっこいい。最初から音楽と映像のマッチングでこれぞこの頃のアメリカっていう感じがする。

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umisora

5.0映画のカタルシスを感じる

2015年10月13日
iPhoneアプリから投稿

上手い役者・良い脚本・センスのある監督・巧みな編集…がひとつになるとこういう作品になるのではないか。ストーリー自体は特別なものではない。むしろ地味。大どんでん返しがあるわけでもない。でも最後までずっとひきつけられた。この監督の次回作が楽しみである。
こういう映画らしい映画がもっと観たい。
なかなか東京まで行けないので、郊外のシネコンにこのような良質な映画がもっと来てほしい。
大衆向きだけが映画ではないのだ!

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lll

5.0理想を侵食する現実の怖さを体感

2015年10月8日
iPhoneアプリから投稿

スペイン系の移民の男が才覚と真っ当な営業で石油ビジネスで財を成すのだが、さらなる成長を目論み、マンハッタンの対岸の石油備蓄施設の買収に動く。ここから、少しずつ歯車が狂い始める。
映画は終始緊迫感あふれる映像で、主人公の危機回避の行動を追い続ける。我々は男の一挙手一投足を、固唾を飲んで見守るだけだ。
主人公のモットーは法を犯さないこと、暴力の力を借りないこと。ところが、業界仲間の嫉妬や一攫千金を狙うチンピラが法の一線を超えてまとわりついてくる。
もっとも危険な年と言われた1981年のニューヨークは毎日のように銃撃事件が続く危険な街だ。主人公の理想は現実に侵食され見分けが付かなくなる。
結末は書かないが、理想を質に入れてアメリカンドリームを追い続ける主人公の姿が愛おしくも思える。
雪に閉ざされたニューヨークは荒涼としているが、情感を湛えてとてもいい。
アメリカ映画も深い。

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カタツムリン

4.0Most Violent

2015年10月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

 原題は A Most Violent Year である。原題のとおり、カーラジオから流れるニュースではいつも銃撃事件を伝えている。時代は1981年か82年。治安が悪く暴力事件が蔓延していた時代のニューヨークが舞台だ。かといって、ギャング映画のように銃による打ち合いや殺し合いのシーンが描かれるわけではない。しかし、映画は観客に常に暴力や血の匂いを感じさせる。流血シーンだけが暴力の恐怖を観客に伝えるものではないということがこの映画を見るとよくわかる。直接的な暴力描写はほとんどないが、その恐怖に対する緊迫感は常に観客に伝わってくるのだ。
 映画は経済の物語だ。クリーンなビジネスで燃油業界をのし上がってきたヒスパニック系の移民のアベルは美人の妻をめとり自信満々のように見える。しかし、同業者らしき者たちからの嫌がらせはずっと続いている。アベルの会社の燃油運搬トラックが次々と襲われ油が奪われる。家族や従業員への脅迫や暴力もある。従業員に銃を持たせる提案も持ちかけられるが、アベルは従業員や家族が銃を持つことを徹底して嫌っている。もちろん、ビジネスに対する姿勢も一貫してクリーンなものを目指している。しかし、彼の会社には検事の疑惑がかかり、脱税や違法なビジネスに対する嫌疑で調査が続けられているのだ。そして、やがてそれらは大きなトラブルに発展していくのだが・・・。
 画面は常に緊迫感を帯びており、重厚で目が離せない。暴力が表立って描かれることは少ないが、その気配は常に濃厚で、まさに violent year である。画面は寄りのカットが多く、引いた画面は少ない。つまり観客には目の前の物事だけが見え、全体は見えない。見えないところから恐怖は来る。音楽も少なめで静かなシーンが多い。そしてそこに突然予期せぬ音が入ってくる。見えないところから何かが飛び出してくる。しずかなところに突然の物音。観客は常に緊迫と衝撃にさらされている。2時間余りの上映中、だれるシーンが全くなく、最初から最後まで緊張を引っ張っている素晴らしい演出だ。
 日本語のタイトルは「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」だ。クリーンなビジネスで移民からのし上がったアベルがアメリカン・ドリーマーで、そしてラストシーンが理想の代償なのだろうが、そういう見方以外の見方もできると思う。日本の上映会社が勝手に映画の解釈をタイトルに入れてしまっているよくない例だ。私は原題を知らずに見たが、冒頭、A Most Violent Year というタイトルの後に、ラジオから殺人事件のニュースが流れてきて、そこだけで映画の中に引き込まれてしまった。原題の方がはるかにいい。

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ごいんきょ

4.0オープニングのマーヴィンゲイが映画にピタリ

2015年10月4日
iPhoneアプリから投稿

日経の映画評をいつも頼りにセレクトしています。期待以上、久々にこれ程渋さを感じる映画を観ました。クライムサスペンスやギャング抗争物とは一線を画し、一応(?)真っ当なビジネスを営む社長にこれでもかと災厄が訪れ、それを打ち返す様が圧巻。エンディングもヒネリが効いており◉、後味は良くないですが。

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M.E

5.0Oscar Isaacの切れ味と迫力

2015年10月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

以前の「ギリシャに消えた嘘」の役もとても良かったですが、さらに彼の演技力に磨きがかかったような気がします。鋭さとかじわじわとした迫力みたいなものが。
妻役のJessica Chastain も高貴な感じが良く出ていてgood。

個人的には、久しぶりにパーフェクトな作品に出合えたような気がします。

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洋画fan

4.5成功とは、なかなか理想どうりにはいかないことを痛感させられました

2015年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

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流山の小地蔵

3.0強い男

2015年10月2日
フィーチャーフォンから投稿

興奮

派手な見せ場やお涙頂戴はないけれど、降りかかる災難に信念を貫き通し立ち向かおうとする主人公の姿を魅せる作品。
取り巻く環境や人間関係の設定がストーリーを牽制してハラハラドキドキ盛り上げる。
後半少し残念な展開があり大事なところだけに、あれ?っとなったけれど、マフィア映画ではないのにマフィア映画のような、古きよきカッコイイ「映画」という感じ。

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Bacchus

5.0いぶし銀の映画

2015年10月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

淡々と破滅に向かいながらも自分の生き様を貫き通す男の生きざまとばれてくる周りのウソ、成功者の重みのあるセリフ、映画らしい映画、是非見てください。

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鷹の爪1号

4.5シリアス映画

2015年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

J・C・チャンダー's best movie to date

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eieiSensei