劇場公開日 2015年12月19日

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はなちゃんのみそ汁 : インタビュー

2015年12月16日更新
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広末涼子、乳がん患う母を演じた「はなちゃんのみそ汁」は「笑って泣けるあたたかい映画に」

20代から乳がんを患いながらも、出産、子育てを経験し、家族との日々をつづった安武千恵さんのエッセイを映画化した「はなちゃんのみそ汁」が公開する。闘病中に食生活を見直し、一人娘に愛情と共にレシピを伝えた千恵さんを演じるのは、キャリアを重ねるごとに、役柄の幅を広げている女優、広末涼子。病気と死を描く題材ゆえに、観客は鑑賞前に身構えてしまいがちだろうが、広末は「笑って泣けるあたたかい映画に」との思いで作品に臨み、残された時間の中で、さまざまな喜びを見出しながら前向きに生きた千恵さんの姿を体現した。(取材・文/編集部、写真/余澄)

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ペコロスの母に会いに行く」の脚本を手がけた阿久根知昭の初監督作で、夫の信吾さん役を滝藤賢一、娘のはなちゃんを、新人子役の赤松えみなちゃんが演じる。千恵さんのブログをまとめた原作から、これまで絵本やレシピ本が作られ、ドラマも製作されている。

「多くの方が結末を知っているので、特に女性の方にとっては、ご覧になるに当たって気が重くなったり、身構えてしまう部分があるのではないかと思いました。だから、ただ泣ける感動作ではなく、笑って泣けるあたたかい映画にしたかったんです」

穏やかな表情で、本作への思いを語る広末。「桜、ふたたびの加奈子」「想いのこし」と近年の映画作品で涙を誘う母親役が続いている。今作も感動作であるが、家族との時間をいとおしむような千恵さんを演じる広末の笑顔が印象深い。

「撮影中は(涙を)ずっと我慢していました(笑)。母親の強さとは優しさと笑顔。絶対に泣かないぞと思って現場に入りました。自分の守るべきものがあると考えると、泣いている場合じゃないと。少しでも気を抜いてしまうと、暗く見えてしまう役だと思うので、極力ポジティブな意識を持つようにしました。実際に千恵さんも笑顔はもちろん、生活の中に笑いを取り入れていらっしゃったので、そこをクローズアップすることがこの映画の大事な要素だと意識しました」

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千恵さんという実在の人物を演じることは「プレッシャーがないといったらうそになるくらい、気がかりでした。原作がヒットしていることよりも、実際のご家族がどう思われるかとういうこと、何より信吾さんとはなちゃんにとって一番大切なママを演じるということにすごく責任を感じました」と撮影前の心境を吐露する。

そして、「実際お二人に会った時に、今回のキャスティングを喜んでくださいました。それが自分の背中を押してくれたし、千恵さんの事を取材して本人に近づけるというよりも、映画の中で千恵さんがキラキラしていたら喜んでもらえるのではと考えたんです。感情が自然にわきあがって来て、力まずに自然体でお芝居ができました。不思議と千恵さんと同化できて、空から見守っていてくれたのではと思うくらい、運命的なものを感じました」と役作りを振り返る。

今作に出演し、広末自身の考え方にも変化があったと明かす。「それまでは、仕事が忙しいともっと家のことがしたいなと考えたり、反対に、家のことがなければ、もっとクリエイティブな勉強ができるのに……と思ったり、もっともっとできることがあるのではないかと欲張っていたんです。今回の撮影は、とてもハードで、三線のレッスンや方言指導もあったので、1日24時間では足りませんでした。でもそれが今、すべてに完璧を求めるよりも、きちんと優先順位を決めて、精一杯出し切ろうと考えるようになりました。この現場を経験して、今あるものを大切に、感謝と謙虚な気持ちで向き合っていかなくてはと感じるようになったんです」と充実感をにじませた。

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