ボーダレス ぼくの船の国境線
劇場公開日 2015年10月17日
解説
過酷な環境下で、たくましく生活をする子どもたちの姿をリアルに描いたイラン映画。緊張関係にある国境沿いの立入禁止区域内に放置されている朽ち果てた船に、ひとりの少年が寝泊まりしていた。少年は川で採った魚を金に換え、孤独ながらも静かな毎日を送っていた。しかし、ある日、反対側の国境から闖入者がやってきた。闖入者は船に住むことを望むが、少年はそれを拒絶。言葉が通じない2人はいさかいを続けるが、次第に交流を持ち始めていった。そんな中、船にまた別の訪問者がやってくる。監督はイラン国内で50本以上の映画やテレビシリーズで助監督を務め、本作が監督デビュー作となるアミルホセイン・アスガリ。「ゼロ地帯の子どもたち」のタイトルで2014年・第27回東京国際映画祭で上映され、アジアの未来作品賞を受賞。
2014年製作/102分/イラン
原題:Bedone Marz
配給:フルモテルモ
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2020年8月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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イラン人の少年とイラク人の娘、アメリカ人の脱走兵が閉鎖的空間に会したら何が起きるか。すぐれた小説家は、「登場人物が自分で動き出す」と言うけれど、まさしくそんな印象。三者がそれぞれに生き生きと動くことで映画が成立している。
でも、台詞は極めて少ない。なぜなら、ペルシャ語とアラビア語、英語で、意思疎通ができないからだ。そういう意味で、極限の状況に置かれた人物達のコミュニケーションを描く映画でもある。
この映画を理解するためには、歴史を踏まえる必要がある。
イランとイラクは1980年から9年間も戦争をして、現在も紛争の火種が消えたわけではない。イランとアメリカは、イスラム革命時の大使館占拠から現在の核兵器問題にいたる長いいさかいを続けている。イラクはイラク戦争でアメリカから侵攻をうけ、独裁者フセインは除かれたが国は壊滅的な被害をうけた。
この物語の時代設定は、イラク戦争下、もしくは終了後にテロ攻撃が継続する中での出来事を描いている。
だから、イラン、イラク、アメリカの3人が出会うことに意味がある。言葉を介さなくても根源的な相互理解が生まれ、小さなユートピア的空間が作られる。しかし、それは外からの力にねじ伏せられ、あっけなく霧散する。
3人の名前は語られない。名前がはっきりするのは赤ちゃんと、登場しないアメリカ兵たちだけ。安部公房の小説のような、実験的な世界が作り出されている。しかし、だからなのだろう、イラン人の少年が一人で廃船に住みながら、どのように生活の糧を得て暮らしを成り立たせているのかを事細かに描くことで、リアリティーを生み出している。イランの貧しい地域なら、こんな子が実際にいるのかもしれない、と思わせるものがある。でも、少年はなぜ一人ぼっちで、船に住まなければならなくなったのか、については何も語られない。
だから、語られたことは深く印象に刻まれ、語られなかったことについての想像が余韻を残す。再び一人ぼっちになった少年の孤独だけが、放置されている。
2017年6月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
この映画を見てなにを感じるのかは、本当に人それぞれだと思う。
国際情勢、人が生きるのに必要な要素、幸せの定義やらアメリカの存在意義・・・ETC
この物語はなにを主張するわけでもなく、そこにある事実として淡々と進んでいくだけ。感じ方は本当にそれぞれだと思う。
映画の意味を探るのではなく、自分の中の要素と語り合わされる作品。哲学的思考の人には向いてる作品なのかもしれませんね。
2016年7月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
米兵の俳優が再現VTRな感じで演技もワザとらしくイラン映画でアメリカの俳優を見つけたんだろうからしょうがないか。
主人公が服を買ってきての遣り取りが素敵で微笑ましかった。
それぞれの状況と憎しみに戦争は弱者に対して残酷極まりない。
意思の疎通が取れているようで良い方向に3人の関係が進むと思ったが嫌な含みのラスト。
2015年12月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
響かず・・・
感動のポイントが無く、終わり方もすっきりせず。
はっきり言って好きではない。
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